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ヤフオク!で買った格安2TBメモリは使えるのか

先の記事で書いたWi-Fiルータに128GBメモリをつけてNASとして使うようになった。手持ちにあるメモリがそのサイズしかなかったので、大容量が格安で手に入ればと探してみた。

 

2TB USB メモリ」アマゾンで検索すると出るわ出るわ。それも2,000~3,000円を中心にゾロゾロ出てくる。2TB SSDは安くて1万ぐらいなのにUSBメモリはここまで安くなったのかと勘違いする。よくよくレビューを見ると当たり前だが容量偽装ばっかりだ。実際には64GBしかないとか。

 

ヤフオク!を見ても同じようなものが、こちらは1,500円程度で出ている。みんなわかっているのか、ほとんど入札がない。魑魅魍魎がばっこするヤフオク!(秋に元のYahoo!オークションに名前を戻す)では鍛えられた人が多いのか見る目が肥えている。

 

そんな中で、評価30程度のうち前半15が落札による評価。その後、出品に転じている。典型的な相互評価による評価稼ぎをしたのちに出品者になるのは詐欺出品の常とう手段である。今どき、こんな化石的な手口を使う人がいるのかと購入テストをさせてもらうことにした。

 

「未開封USBメモリ 2TBヒューレット・パッカードのPC購入特典のため、パッケージが簡素です。フック型になっている防水、ゴールド色。未開封であるため事前の性能・状態の確認をしておらず、万一の初期不良に交換・返品できないことをご了承ください。(その分、安く出品します」

なんとHPの名前を出している。そんな購入特典があるのかと調べてみたが見つからず、シークレットキャンペーンなのかサイレントキャンペーンなのか。PCメーカーを出すことによりメモリの信ぴょう性を高めたわけだ。優良誤認の公取事案である。1,600円で購入して送料はかからなかった。

 

到着は早かった。簡易包装はいいが、未開封と言いつつ普通のチャック付きポリ袋で誰でも簡単に開けて戻せる。未開封のためという理由はもろくも崩れ去った。裏面を読んでも製品の詳細はわからなかった。

 

まずスピードチェックを行っておこう。定番のCrystalDiskMarkを使う。USB 3.0なので最大転送速度640MB/sになる。購入した2TBは驚くべき数字を叩き出した。シーケンシャル(連続)な書き込みで4~5MB/sというのは1秒間に4~5MBしか書き込めないというスピードになる。USB 2.0でさえ60MB/sだ。その1/10も書き込めないというスローメモリだ。2TB=2000000MBと簡易的に考えると全領域を書き込むのに2000000÷4=500000秒=5.8日かかる計算になる。これで実用になるのだろうか。

 

あらためて挿し口を覗くとUSB 3.0ではおなじみのブルー樹脂が見える。しかし、なにかおかしい。USB 3.0は9ピンで従来の4+奥5ピンの二重構成だ。覗いても一向に見えない。普通にUSB 2.0であった。並べてみると一目瞭然、左がUSB 3.0のUSBメモリだ。

 

超低速であっても、容量があっていればまだ詐欺とは言えないだろう。まず、メモリが吐き出す容量は公称通り2TBである。Windowsもそう認識している。

 

では実際にその容量が有効なのかどうかを調べるには古典的に総当たりをすることになる。H2testw 1.4という2008年製のソフトが今もメジャーで使われている。仕様はかんたんで、全領域書き込んで全領域読み出してベリファイするだけだ。例えば32GBは正常に読み書きできて、96GBはダメだったとかそういう風にして容量偽装を見破れる。フォーマットしたりしてプロパティによる見かけの容量はだませても、実際に原始的な方法でチェックされるとどうしようもない。ただ、全領域なので先ほど推測した約5日がかりの検証になる。

 

書き込みはなぜか2日経たずに1~1200までの1GBファイルを書き出したところで止まってしまった。

 

苦労して書き込んだのに、正常に読み出せたのは先頭の3.8GBだけであった。以下続けても仕方がないので中断した。

 

ではめでたくニセモノであることが判明したので殻割りをしてみる。どんなフラッシュメモリを搭載しているか見てやろう。と、思ったら黒いプラ板が出てきただけだった。裏面の刻印からは何もわからなかった。

 

プラ板を破壊してみたが少なくとも2TBのメモリが集積されているような感じではなかった。DVD-Rの容量ぐらいしかないUSB 2.0規格よりさらに激遅の3.8GB偽装メモリを作る工場があるのだろう。