初物づくし
先にKWS-X1のカスタムファームウェアを紹介した。市販のUSBテスターハードを使用した初の試みで驚いた。そして今回さらにシンク側に対するポートのチェック機能が搭載された。これも初だと思う。

作者kralonur氏にカスタムファームウェア名を決めるべきと提案するも謙虚にお断りされた。そこで本ブログではオリジナルのKWS-X1と区別するために以後カスタムについてはKWS-X1Cと表記する。ちょうど、X1のファームウェア拡張子とも一致して覚えやすいだろう。今回は、KWS-X1C v.0.10.1の紹介である。
シンクより始めよ
USBテスターというと、充電器とスマホの間に置いて充電状況を監視したり、充電器に挿して能力を調べたり、場合によっては無理やり電力を引き出すといった使い方が一般的だった。


このようにスマホにUSBテスターを挿してもKM003Cは何も反応せず、ALIENTEK C2でようやくDRPとして5V⎓0.5Aの供給能力があることを教えてくれる。
しかし、このスマホがどんな充電を要求するかは教えてもらえない。そんなときに登場したのがUSBテスターではなく、USB CABLE CHECKERという種別の3代目だった。UCC3は本来のケーブル仕様のチェック以外に、シンクのポートチェック機能を搭載した。

今回テストに使用するスマホはSHARP AQUOS wish2という、かなり以前に出たローエンドAndroidスマホになる。
UCC3






この6画面になる。機種によっては後半3ページが4ページになる場合もある。では、最初から見て行こう。
- シンクポートのパワーロール種別が双方向のDRP(Dual-Role Port)か、受け専門のUFP(Upstream Facing Port)かを教えてくれる。また、ポートから取り出せる電力およびDiscover IdentityというUSB PDで接続相手の製品情報やデバイスの種類を確認するためのコマンドをサポートしているかどうか表示される。
- シンクが供給できる規格を表示する。通常は5V固定で0.5~1.5Aが出力可能になる。
- そしてこの3画面目が一番のキモになる。自分のスマホがどんな電力を要求する可能性があるか表示される。スペックとして公開されることがない情報だ。
- ここからはDIコマンドで送られる情報が列記される。
- 最後の画面もなかなかに情報量が多い。
四天王動かず

この機能を使うとき、UCC3はどんな通信を行うか調べてみた。これだけの通信であれだけの情報量がある。これなら、USBテスターで実現できないかと考えた。
そこで、これをUSBテスターで表示できるようにして欲しいという要望をPOWER-Z、WITRN、RYKEN、ALIENTEKの4社に送付した。唯一、ALIENTEKが技術者につないでみると返信をくれただけで、他は無反応だった。結局、半年以上どこも対応をしないのでこの機能はメーカーにとって魅力的ではなかったようだ。
電気や規格という目に見えないものを可視化してくれるツールだと思っていたのに、シンクが発する情報には無頓着なことに驚愕した。
KWS-X1C登場
そんな打ちひしがれたときに射した光明がKWS-X1Cだった。登場してからあれよあれよという間に機能が追加されていった。1週間ほどは毎日更新があったので、要望が尽きるタイミングを見計らっていた。そして頃合いを見てkralonur氏に話を切り出すと前向きな検討どころか、およそ1日でほぼ完成形を見せてくれた。電光石火とはこのことだろう。

ポートチェックのお作法はこのようにPD COMスイッチをオンにしてやると電源供給を受けてKWS-X1Cが起動する。

これがKWS-X1C立ち上げ時とマニュアルでPDセッションを深読みした場合のPDパケットになる。UCC3に比べてはるかに多い情報を取得している。
PD PROFILES(スマホ)

UCC3の2画面目になる。ここをUCC3は2.5Wと表示するが、ALIENTEK C2も2Wと表示する。これはどちらが規格上の正確な表記だろうか。
PD SESSION(スマホ)

UCC3の2画面目を除く情報が表示される。一番見たいのは真ん中のシンクPDOになる。このスマホがPPSを要求することがわかる。
ここでは、10mA単位まで表示するKWS-X1Cの勝ちとなる。UCC3は小数第1位までしか表示していない。
CHARGER(スマホ)

これはスマホに対して実行するというよりも、充電器に対して実施すべき内容だろう。
CABLE

これだけ詳細なケーブル情報は見たことがない。スマホとKWS-X1CをつなぐケーブルについてeMarkerありなら情報を読み出す。
SYSTEM

これはスマホのシステム情報ではなくKWS-X1Cのシステム情報を表す。
ダッシュボード



改めておさらいとしてV.0.10.1で全画面を見ておこう。電力に関する基本的な3画面になる。
グラフ



VAWについてグラフで表示される。
リップル

リップル波形を確認できる。
CHARGER(充電器)

これはPD 3.2充電器の情報になる。すでにこの時点で本家を超えてしまっている。
PD SESSION(充電器)

充電器に関してはあまり得られる情報はない。
トリガー



PDに関してはPD 3.2を含めてすべてのトリガーに対応している。


QCも当然サポートされているのは本家KWS-X1と同じだ。


現在はSCP/FCPともユーザの要望を受けてサポートされている。
PD SNIFF

これ、何気に表示しているがUSBテスター本体でPDパケット情報をテキストで表示できるものをわたしは知らない。これはソースとシンク間でPDOから20V⎓3.25Aを選んだ時の情報になる。
SETTINGS

シリアルナンバー表示に対応した。安価ゆえ複数持つユーザはその管理に役立つだろう。
KWS-X1Cの総評
あの安価なハードのKWS-X1がこのカスタムファームウェアのおかげでかなりの進化を遂げてしまった。ちまたにあまたある充電規格を検出したいという用途なんて限られているだろう。今のところ、標準的なPDとQCに絞ったとしても、ソース側とシンク側の双方に対して情報を取得して表示する機能に関してはUSBテスターNo.1といってもいい。見えないものを可視化するという機器としては最高の進化を遂げている。まだまだ拡張していくだろう。
そういえばUCC3の表示がおかしいという指摘もされていた。あちらは不具合があってもファームウェアの更新が簡単にはできないので、KWS-X1Cに譲るしかない。
今後とも目が離せない。独身の日セールが始まったので早速KWS-X1ハードを追い買いしておこう。今のところ1,000円程度が最安値で、かつての500円ぐらいで買うのはもう無理なようだ。KWS-X1 V1.0.5Vなんてとっくに無用と化している。
惜しむらくは情報が多過ぎて文字が小さい。老眼にはつらいのひと言だ。
































