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中堅USBテスター WITRN C5をKM003Cと比較する

名機KM003Cを入手して1年以上が過ぎた。飽きたというわけではなく好敵手が現れるのを待っていたら1年を隔てて現れていた。Guangzhou Weijian Technology Co.,Ltd.(广州市维简科技有限公司)からWITRNというブランドでC5というUSBテスターが昨年末発売された。POWER-ZブランドのCharging Head Network.(充电头网)が深圳市なので両社距離的にも近いといえば近い。

実機確認

YouTubeのレビューで今年始めに見かけていたのだが、KM003Cの予備機を買ったり、KM003Cのパチモンを買ったりして余裕がなく、なかなか手が出なかった。それが7千円で入手可能だったのでいよいよ調達してみた。スクエアのKM003Cに対してワイドフェイスはUT70に近い。取扱説明書はないが、パッケージにシリアルシールが貼ってあるので個体管理はされているようだ。

外部インターフェイスはKM003CのType-Cコネクタ×1、レセプタクル×2(うち1つはHID)と同じだ。

操作ボタンが4つなのも同じ、レイアウトは変えている。

 

全24ピンがコネクタ⇔レセプタクル間でスルーになっているのも同じだ。ただし電源ラインで各4本あるVBUS,GNDは内部でショートされているので厳密な24ピンがセパレートというわけではない。価格的に似ていることもあり、機能的にもかなり寄せてきているのを感じる。

仮想eMarker機能があるのでそれを有効無効にするための物理スイッチがある。それ以外はC4の基板と同じということだ。

本体裏側はFNB58よりひと回り小さいT4トルクスネジが使われている。KM003Cと比べてコネクタ部の強度はどうなっているか見てみよう。

コネクタ裏表とも基板への接続部が小さい。外側のアルミケースで保持されているとはいえ、強度としては不安で補強をした方がよさそうだ。

KM003Cのようにどこか空けてスーパーキャパシタを搭載して欲しかった。

液晶は非常に見やすい。

液晶の下にも電子部品があるのでぜひ覗いて見たかったが、両面テープで接着されていたのでまだ買ったばかりということもあり、今回はここまでとした。液晶の保護シールはまたミヤビックスに作ってもらおうかな。

取扱説明書

WEB上で公開されているものの出来がすこぶるよい。自社機能の解説だけではなく、サポートしている内容の解説にまで踏み込んでいるのはあまり見ない。機械翻訳でも十分内容がわかるので今回はラクをする。


必要なPC用ソフトやファームウェアもこのWEB説明書内のリンクから取ることができる。ファームウェアは5ヶ月の間に13回も更新されていてメーカーの本気度が出ている。
C5 V4.5 (2023.10.11)~C5 V6.0 (2024.03.12)

画面遷移

C5は+-ボタンで6つの画面が切り替わる。最初の画面はカスタマイズが可能で、PC接続して萌え系からテクニカルなものまでさまざまなスキンが用意されている。変更にはいちいちパソコンをつながなければならず、これぐらいは内蔵してもよかった。

それでは代表的な機能を見ていこう。

急速充電プロトコル検出

導通経路に置いて現在進行形の充電プロトコルを検出するのは意外に大変らしい。KM003Cと並べてみると、PDを検出しているのはKM003Cなのがわかる。

USB充電器の対応充電規格を表示する。スーパーキャパシタを搭載していないので、HIDを接続していないと検出中は画面が何度もブラックアウトする。

eMarker情報読み取り

KM003Cと同様に読み取れるが、ベンダーIDをテキストで持っていないためコード番号が表示されるだけだ。

トリガー

画面が小さいのとユーザーインターフェイスがややおかしいと思う。PPSでは数字をダイレクトに操作する。KM003Cが+-でバー操作するのと比べるとかなり残念に感じる。

PDアナライザー

KM003CがPCソフトのみで対応しているのに比べるとFNB58と同様に、本機のみで対応している。しかし、この辺はパソコンの大きな画面でその他情報と合わせて見たいと思う。

Apple PDアダプター

アップル製PD充電器がもつ情報を表示してくれる。KM003Cにも同様の機能がある。一度使ったらその後起動することはないだろう。

PDビュー

とくにPD充電器に特化して、通過中の情報を表示するようだ。KM003Cは通常画面で詳細に表示しているのでそれに相当する。

ケーブル抵抗測定

取扱説明書にも一切記載のないナゾの機能だ。薄っすらと外部モジュールが必要と見えるので、専用のものが将来発売されたら使えるのだろう。試しに挿し込んだらいきなり計測を始めた。本来であれば定負荷で計測したあとに、経路に計測ケーブルを付加して増分を測ると思うのだが、このような構成になっているということはC5⇔計測ケーブル⇔専用モジュール(キャリブレーション済?)という構成で一発表示するのだろう。2,000円ぐらいまでのオプションなら買ってみたい。

メニュー一覧

本機は各画面にメニューが分散しており、KM003CやFNB58と比べるとUIがよろしくない。以下に全メニューをお見せしておく。

パソコンソフト

この1画面のみである。ほとんど電力系のみのメニューでこれ以外のeMarker編集やファームウェアアップデートは別ソフトで行う。オンラインアップデートには対応していない。すべてにおいてKM003Cの域には達していない。

結論

価格的に近いこともあり、WITRNは何種類もテスターを出しているメーカーなので期待をしたが、8,000円程度で買えるUSBテスターならKM003Cにしておいて間違いはない。