6月6日、東京でも梅雨入りとなった。草花にとっては恵みの雨となることであろう。5月最終週末に訪れて開花が十分でなかった小岩菖蒲園が心残りだ。あれから2週間、満開の花しょうぶを求めてふたたび足を運んでみる。
ことわざに「何れ菖蒲か杜若(いずれあやめか かきつばた)」というのがある。似た花をつけるため二人の美人を選ぶのに困る例えとして使われる。しかし、実際にはもっと複雑で、しょうぶ、はなしょうぶ、あやめ、かきつばたがいずれも似て非なるものだという。しょうぶ湯に入れるしょうぶはサトイモ科でがまの穂のような花をつける。残り3つはすべてアヤメ科になる。名前が似ていたり、花が似ていたりで複雑になっている。5月の花札に描かれているのはかきつばたなんだとか。
しょうぶ園で見られる花しょうぶは園芸化を目的にあやめを品種改良して作られている。あやめでもかきつばたでもないので悩まなくていいわけだ。
東京で花しょうぶが見られる公園はいくつもある。では、しょうぶ園とつく公園はいくつあるのか調べてみた。吹上しょうぶ公園、しょうぶ沼公園、堀切菖蒲園、小岩菖蒲園の4つだった。このうち吹上しょうぶ公園だけ青梅で離れているが残り3つは足立区、江戸川区、葛飾区と近場に存在する。この3つ巴を回ってみることにした。
小岩菖蒲園
第37回という冠がついている。2週間前とはまったく違って色とりどりの花しょうぶが見られる。
こうしたボランティアの人によって枯れた花は取り除かれ、常にきれいな花畑が維持されている。
各品種が一気に開花している。
我が地元愛知は黄色い上品な花をつけている。
花しょうぶは派手な花弁をつけるわけではない。ただ、江戸時代から続く伝統的な園芸植物なのが日本人の心に響くのかもしれない。
しょうぶは湿地を好むところから各園では水回りをよくして新鮮な水を送り込むようにしている。ここは水田のごとく水車を設置して風流に還流させている。
園全体はこんな感じでこじんまりとしている。ちゃんと手入れしている割には訪れる人が少なくて残念だろう。
名物なのかどうかわからないがせんべいも売られている。足立区のすぐ上は草加市があり、せんべいで対抗するのはやや不利か。
地元のボランティアの方が運営する堀切観光ガイドアイリス会が一日2回史跡を巡りながら駅まで戻る道を案内してくれている。電車できて時間がある人は利用するといいだろう。
こうして巡ってみると東京は都会の砂漠ではなく、公園、花、水がほどよく設置された環境にやさしい街だと実感する。ビル街に暮らすからこそこうした自然を愛でる気持ちもより強まるのだろう。