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USBケーブルの標準抵抗原器を作る

USBケーブルの抵抗値を測ることがこんなに難しいとは思わなかった。こうなったら市販のUSBケーブルを使うことはあきらめて、自分であらかじめ抵抗値を決めてケーブルを自作することにした。まるでその昔存在したメートル原器のようなものを作ろう。

適当に電源コードになりそうなものを選んで購入したらちょっと太過ぎたようだ。1mで15mΩでは小さ過ぎる。ある程度の抵抗値がないとコネクタ接触抵抗と差がなくなってしまう。

改めて購入したコードは5mで743mΩと理想的だった。これなら100mΩのコードが作れそうだ。

約67cmを切り出すと100mΩになった。これを4本用意した。

A-CとC-CそれぞれVBUS+GNDで往復200mΩのケーブルができあがった。

前回と同様の方法で検証した。

機種 あろえ FNB58 あやの A-C あやの C-C
回数 A-C C-C A-C C-C VBUS GND 合計 VBUS GND 合計
1 304 303 269 259 248 297 545 341 379 720
2 304 303 299 243 250 297 547 343 378 721
3 321 302 293 249 251 297 548 332 370 702
4 327 298 261 262 249 291 540 324 365 689
5 322 310 259 265 248 291 539 320 365 685
6 360 304 262 262 247 290 537 326 367 693
7 353 302 271 255 247 288 535 311 364 675
8 387 302 304 255 247 287 534 310 373 683
9 308 302 378 251 248 288 536 310 368 678
10 316 298 337 252 248 287 535 310 367 677
平均mΩ 330 302 293 255 248 291 540 323 370 692
標準偏差 26.2 3.2 36.8 6.5 1.3 4.0 5.0 12.1 5.1 16.0

あろえチェッカー

市販ケーブルと同じように自作ケーブルもA-Cは変動が激しい。C-Cは300mΩほどで安定しているが正値が200mΩなのを考えると、差はコネクタの接触抵抗と基板の銅箔抵抗になると思われる。

FNB58

あろえチェッカーと同じような傾向値が出ている。安定しているC-Cは50mΩほど小さい値になる。

あやのチェッカー+ミリオームテスター

もうこのチェッカーは導通確認以外には使えないのがわかった。これはプリント基板の銅箔抵抗が異常に高いのだと思われる。

接触抵抗と銅箔抵抗

コネクタメーカーのスペック表を見ると、接触抵抗はType-Aが100mΩ、Type-Cが40mΩ Max.となっていることが多い。Aコネクタの方が高いとは思わなかった。大きい分だけ低いというわけではないようだ。

続いて基板上の配線すなわち銅箔抵抗は標準的には1cm当たり5mΩ程度を想定しておけばいいようだ。今回は20~30mΩといったところか。こう考えると、ケーブルの200mΩ以外に100mΩ程度が加算されて、C-Cケーブルだと300mΩが正値と考えていいだろうか。

ここで計測方法の違いを考慮してみる。あろえチェッカーはコネクタ2つ分とケーブルと銅箔抵抗が算出されると思う。この結果が300mΩなのだろう。

FNB58の場合は、充電器にAコネクタを直挿しした状態とC-Cケーブル挿し替えの差分なので、AとCコネクタの差、Cコネクタ1つとケーブルの合計値△60+40+200=180mΩほどのはずがかなり実測値と異なる。親側のコネクタ影響を無視すれば240mΩとなり計算値に近くなる。

結論

あろえチェッカーはA-C測定の変動が激しく正しい計測が難しい。C-Cケーブル専用と考えた方がいい。安定して計測ができるのはFNB58の差分法で、負荷抵抗を用意する手間はかかるがA-Cはほぼ正値、C-Cは計測値に30~40mΩ足したぐらいと思えばいい。

今回の自作USBはコネクタ40+ケーブル200+コネクタ40の計280mΩとしておこう。

 

最後にもう一度ケーブルだけの抵抗値を見て、やはり片道100mΩであるのは間違いなかった。低抵抗計測の世界は奥が深い。