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格安ミリオームテスターをレビューする

ミリというのはSI接頭語で、1000分の1の量であることを表すために単位とセットで使われる。通常ミリだけ呼称するとミリメートル(mm)を示すことが多い。抵抗の世界では1Ωというと結構小さい数値だという認識だが、ケーブルのような電気伝導体にも当然微小な抵抗は存在する。USBケーブルを電源コードとして扱う場合は、ACアダプターのプラス(+)から電気が流れ、USBケーブルを通りシンク側で消費され、またUSBケーブルを通ってACアダプターのマイナス(-)に戻る。その間には当然両側のレセプタクルとコネクタ間の接触抵抗もあるが、一番大きいのはUSBケーブル内のVBUSとGND線だろう。この2本の抵抗値合計が小さいほどソースの電力がそのまま届けられることになる。

 

手持ちのテスターではこのミリ単位のオーダーで抵抗を測ることができなかったため、ミリオームテスターを購入することにした。業務用のものは20~30万円ほど、中古でも10万円台で手が出ない。ホビー用途なので、1mΩ±1%ぐらいの精度で十分だ。

 

頼みのアリエクで「ミリオームテスター」を検索すると3,000円と6,000円程度の2機種が目に入った。レビューを見ると安い方はクリップが弱いようだ。それにクリップ先端がプラで覆われていてあやのチェッカーのPADに押し当てられない。

 

どうせ数回しか使わないので、安い方を購入した。クリップ先端は切除して金属部分を露出させればいい。2,760円のものを注文したら5日目に届いた。最近、アリエクは一定金額以上は迅速な発送として送ってくれる。

これだけだとテスターの精度がわからないため、合わせてサンプリング抵抗というものも購入した。コンスタンタンという合金でできているようで温度の影響を受けにくい。

3,5,20,50,100mΩの5タイプを用意した。精度は±2%のようなのでこれを信用してテスターの精度を検証してから使うことにする。

 

600mAhのリチウムイオンバッテリーが内蔵されている。下部のスイッチを入れるとすぐに電源が入った。非常にシンプルな構造だ。

 

最近の機器はType-Cなので充電がしやすい。このテスターも充電器・ケーブルとも同梱はしていない。しかし、格安中華製Type-Cで困るのは本来付けていなければならないレセプタクルのCC1/CC2端子を5.1kΩプルダウンしていない。このため、手持ちのC-Cケーブルで充電しようとするとUSB Type-Cのコールドソケット仕様により給電が始まらない。本機もそうであった。この場合はA-Cケーブルで充電するか、ホットソケットになっているType-Cの充電器を使うしかない。到着して充電ができない、不良か?と疑う前にそこを確かめてみよう。

 

弱いと言われていたクリップは改良されていた。十分なグリップ力がある。4端子抵抗測定法と呼ばれる方式なので、2つのクリップ両側にそれぞれ1本ずつ配線されている。先端のカバーは後ほどカットすることになる。

 

4本のワイヤーを接続する。なぜか、熱収縮チューブが圧着されず3輪ずつぶら下がっている。

 

2タイプ販売していて、1mΩ単位のYMC01-2R、10mΩ単位のYMC01-20Rがあったので当然分解能の高い方を選んだ。開けてくれと言わないばかりの構造なので当然見させてもらった。なぜ基板にメールアドレスがあるのかわからないが、EMECOというメーカーなのかブランドなのか、製造が2023/5/28と比較的新しい。さらに、2Rと20Rだけかと思っていたら200Rのショートも用意されている。このショートパッドで仕様が切り替わるのだろう。

 

ICL7107CM44と書かれているのがA/Dコンバータでディスプレイ表示もできる心臓部。ブルーの3296が半固定ボリュームの抵抗でキャリブレーションに使うものだが調整されているので自分では触らない。青いボタンは表示を固定停止させるものだ。

 

では戻してゼロ確認をしてから購入済みのサンプリング抵抗100mΩから確かめてみよう。金属側に±2%の許容があるのでその中には収まっている。果たしてサンプル側の誤差なのか、テスターの誤差なのか今の時点では不明だ。

 

残り4種類はずばりだったので、確率的にテスターの測定値は正しいものとしよう。さて、これでUSBケーブルの抵抗値測定環境は整った。次回は3機種それぞれの方法で測定をしてみよう。