日本信号という交通にかかわる会社の決算報告書に使われている表紙絵が話題になっていた。
一瞬見ると写真のように見えるこの表紙は絵画である。それも下書きなし、さらに自閉症の作家が描いたものだという。中間報告書という無味乾燥になりがちな株主向けの冊子に支援の絵画を登場させた日本信号という会社の懐の太さに感銘しつつ、この絵を自分の目で見たいと思っていた。作者は埼玉県日高市出身の福島尚さん(46歳)で、同市のギャラリー喫茶Galeria de Cafe Limonで見ることができると言う。12月19日は暖冬の中でも冬らしい肌を刺す冷たい風に身をさらしながら目的地へいつもの我が原チャリで向かった。
ヤフーニュースに載ってから2週間経っていたので同じ目的の人はいなかったようだ。住宅街の中のごく一般的な家庭的な喫茶店だった。
入口にあるポスターには福島さんのことが書いてない。恐る恐る中を覗くとやはりこのポスターの作品で埋め尽くされていた。先客は地元のおばさまたち茶飲み友達の会が開かれているようで、立ちつくしていると向こうから、お店の人が察して福島さんの作品ですか?と聞いてくれた。そして、奥の場所を指差してこちらですと教えてくれた。部屋に入ると壁一面に作品が展示されていた。一番奥に、12月1日発刊の日本信号報告書に使われた絵が鎮座していた。何号というのだろう、かなりの大きさだ。150インチテレビぐらいのサイズだろうか。近くで見ると油絵の具の盛り上がりがよくわかる。確かに描かれたものだ。写真ではわからない迫力がある。残念ながら写真撮影はご遠慮くださいとあるので、絵画以外を撮ってきた。
帰って中身を確認してみた。絵画のポストカードは難しいのかな、ちょっと写真の解像度が残念だった。やはり絵は実際に自分の目で見た方がよさそうだ。
今回注目を浴びた福島さんのみならず、それを紹介した日本信号の株も上がったことだろう