tomoca2の ブログ

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ブラックサンデー、これは本当にヤバい!

◎通算12年目の秋
あれから一か月が経った。最近流行りの消費カンフル剤となるブラックフライデーではない。本当の暗黒サンデーがそこにあった。ようやくブログにまとめることができる。わたしは単身赴任のため東京と愛知を月2回往復している。この帰省スケジュールは年末に翌年分をあらかじめ決めてしまう。こうすることにより、自らに足かせをはめることができる。10月第4土日もそんな感じで設定されていた。ちなみに、10月から単身赴任歴通算12年目に突入したばかりだ。
 
往復の主な交通手段は深夜バスである。これは値段が安いことももちろんだが、移動時間を睡眠に充てる効率さが気に入っている。わたしはバスに乗るとすぐに寝てしまうので起きることがない。土日の昼間をほぼ有効的に使うことができる。
 
最初の単身赴任は今から16年半前になる。その時は春夏冬の青春18きっぷシーズンに、定時運行していた快速ムーンライトながらという夜行快速列車を利用していたこともある。今も臨時列車として運行されているが、改悪につぐ改悪で利用しなくなってしまった。今はもっぱら深夜バス専門である。
 
◎ノックアウト
週末を実家で過ごしたわたしはその日も23時の名古屋発バスに乗るため自宅を21時50分に出発した。最寄りの駅までは徒歩15分の距離だ。大学時代から電車を利用しているためすでに30年以上通い慣れた道である。ひょっとすると目をつむって行けるかもしれない。夜は一部しか街灯がないものの、今まで恐怖を感じたこともない。まさに生活道と言っていいだろう。
 
実家を出て、それほど広くない市道のガードレール沿いを軽い足取りで歩きスマホをしながら駅まで進んだ。時折すれ違う車や自転車をよけて進むが、たまたま人通りがなくなった瞬間、突然何やら暴言を浴びせられた。一瞬過ぎて正確には聞き取れなかったが若い感じの男で日本語であった。ただ、その声が聞こえるやいなや、右顔面に強烈な衝撃が走った。一瞬のことである。その後のことはまったく記憶にない。LINEのやり取りやその後の緊急通報の履歴を考えると気を失っていたのは1分程度だと考えられる。時間は22時ジャストだった。路上に座り込んだまま気が付くとまずは自分の状況を把握するのに努めた。ズボンの左後ろのポケットにある財布を確認した。ない、そうかモノ盗りか。手に持っていたスマホもない。腕にぶら下げていた紙袋の中身を確認した。大したものは入っていない。スマホの充電器やイヤホン、乗る予定のバス予約表ぐらいだ。そのまま残っていた。最後に胸ポケットを確認するとガラケーと定期入れなどはそのまま収まっていた。自分への被害はどうだろうか。口から血が出ているのは確認できた。口内は血の味しかしない。舌で探ると歯が1本折れているのとその両隣がぐらつくのがわかった。右頬はとにかく焼けるように熱い。
 
何とか立つことはできた。路上で座っているのも危険なのでちょうどつぶれた商店の軒先に避難して再度座り込んだ。胸ポケットからガラケーを取り出して自宅へ電話をした。殴られて財布を盗られたことと現在地を伝えて、110番に電話をした。最後に明日会社に行けなくなったということを上長に電話をしたつもりだが、実はここからまた記憶が途絶える。したがってこの後のことは家人の証言を元にしている。
 
妻が5分後ぐらいにわたしの元に到着した。ほどなくしてパトカーも現場に到着した。近くを警ら中だったのか初動は早かった。警官はわたしの様子を見て救急車の必要性を感じ、妻の携帯から電話するように伝えた。しかし、わたしの姿を見て動揺してうまく伝えられず最後は警官に代わってもらった。わたしは自らの足で救急車に乗り込むも、気になっていたのは手元からなくなっていたスマホの存在だ。それは犯人がスマホを持って行ったのなら追跡ができるからである。これはヤバい我がGalaxyはそのように設定されている。
 
地元の救急総合病院に運ばれると、頭部を殴られているということでCTとレントゲンを実施した。結果は脳内も頭蓋骨にも異常はないということだった。暴漢に叫ばれたときにやや顔を持ち上げたのがよかったのかもしれない。もっともそのせいで下の前歯を1.3本、口腔内をざっくり2か所切れで15針縫うこととなった。当直医の診断を聞き、待合室でようやく記憶が戻った。ここからはわたし自身の記憶になる。
 
まず付き添いの妻に暴行を受けたわたしの写真を撮るように伝えた。右ほほがボンボンに腫れていることは鏡を見なくてもわかる。この状況をのちに皆に伝えなければならず必要な一枚だった。
 
スマホの捜索
救急の待合室で次にしたことは我がスマホの捜索である。犯人が一緒に持ち去ってくれていれば追跡ができるのだ。ここで役立つのが以前も紹介したFind My Mobileという機能になる。iPhoneを探すと同じ機能だ。警官も見守る中、わたしは名探偵コナンになったつもりで妻のスマホを操作して現在位置を表示させた。なんと、犯行現場から5kmも離れた場所を指し示した。すぐに警官にその場所を知らせると無線で緊急手配を行った。大捜査網の開始である。しばらくして現場からは該当するものがないという連絡が入る。改めて自位置を検索すると今度は犯行現場から300mぐらいの場所を指した。そんなに早く移動できるはずがない。ここで期待のGalaxy GPS性能に疑問を持ち始める。もちろん新しい場所にも警官は向かった。何もない。データ専用なので電話をかけて鳴らすことはできないが、Find My Mobileでは遠隔で鳴らすことができる。
イメージ 1
 
うまくつながっていればこんな画面がスマホには表示されているはずである。現場にいる警官からは音が聞こえたという報告はない。Googleの機能を使ってもみたりしたが結果は同じだった。時間はちょうど日付を変えて月曜日になっていた。
 
◎現場検証と供述調書
救急ではこれ以上何も処置ができないということで9時以降に来るように一度病院を出ることになった。今度はパトカーに乗って現場まで戻り現場検証である。自らの血痕が数か所に残っていてそこに番号札がつけられていてそこをわたしが指差す写真を何枚も撮られた。時間は1時になろうとしていた。刑事が本署で供述調書を取りたいという。どうせ痛くて寝ることもできないし了解するとまたパトカーに乗せられて片道15分ほどのところにある警察署に向かった。刑事課の奥にある取調室に入った。ドアは開けたままである。被告の場合は密室で行われるのであろうか。
すると現場で捜索を続ける警官から連絡が入った。スマホが見つかったという。なんだってー!!しかも犯行現場から数メートルのところで。確認のため現場に戻るという。もちろん同意だ、早く我がスマホに対面したい。
 
何とスマホは現場のフタ付側溝のわずかなすき間から中に投下されていた。現場検証を続けていた警官がわずかなすき間から見えるスマホのチカチカ光るLED発光を見つけて発見したのだ。現場に到着したときはすでに重たいフタが何枚も取り外されていて深さ数センチの泥に沈んだままのスマホは手付かずで置かれていた。わたしが自分のものか確認を求められるとまさしくGalaxyであった。そしてまた指差しで記念撮影だ。コンクリートのフタの奥に閉じ込められたスマホGPSの検索がうまくできなかったのであろう。それでもよくぞ表を向いて落ちてくれた。反対側であったら発見できなかったかもしれない。スマホには犯人の指紋が残っているかもしれない。慎重に取り出され鑑識に回された。わたしの手元に戻ってくるのはまだ先になりそうだ。とりあえずあってよかった。そしてまた15分かけて警察署に戻った。

ここからが長かった。およそ3時間ほど、その大半は筆記し続ける刑事の様子を見守っているだけだ。時折質問をされ、答えるとまたひたすら便せんに手書きで書き続ける。作家の原稿が上がる編集者の気分だろうか。いつ終わるともしれない作業を見守った。大物作家が書き上げた原稿を最後にわたしに読み聞かせる。内容はわたしが語る口調で最後に犯人を許すことができませんと結ばれていた。わたしはそこに署名と拇印を捺してようやく解放された。カツ丼は出なかった。再びパトカーに乗せられて我が家に帰ったのは朝5時前である。家人は起きていた。
 
◎カード停止手続き
まずは血染めの衣類を脱いで浴室で自らの血を落とした。着替えて、病院が始まる前にやることがある。スマホが出てきた以上、盗まれたものは財布だけだ。財布の中には現金の他、クレジットカード、キャッシュカード、健康保険証、各種会員カードが入っていた。おそらく犯人は現金だけ抜いて財布は捨てていくはずなのでその後発見した人が悪用しない限り心配はないのだろう。しかし、戻ってくるかどうか確証がない以上、停止および再発行の手続きを取らなければならない。

まずはなくなったカード類をすべて書き出す。記憶は完璧だった。そしてパソコンで各カードのサイトを見ながら電話をしていく。紛失・盗難はどのカード会社も24時間体制で受け付けている。朝6時からその作業を開始した。いずれのカードもカード番号や有効期限を控えているが、盗難前提なのでどの会社でも確認を求められることはなかった。住所、氏名、電話番号で紐づいたカードを停止して、再発行の手続きもそのまま電話でできた。再発行は無料の会社と有料の会社があった。いい機会なのでほとんど使っていないクレジット会社や銀行のカードは整理することにした。GEOとTSUTAYAのカードはビデオレンタルに必須なので後日店舗で再発行手続きを行った。健康保険証は再発行を会社に依頼した。財布はブランド品であったが、ボロボロでちょうど買い替えの時期であったため新調した。
 
◎治療開始
朝9時前に近所の総合病院に自ら車を運転して入った。前夜の緊急搬送のときもそうだが、第三者行為による傷病は健康保険が使えない。全額自費での治療になる。ただ、今回わたしの場合は単身赴任で勤務地に向かうため実家を出たときのケガであるため労災が認められた。治療費総額は最終的に30万を超えるのだが薬を含めて自己負担はない。ただ、のちに警察に提出する診断書のみは自己負担であった。

負傷箇所は右ほほの外傷と口腔内裂創、歯の破損2か所、腹部と右足の打撲である。これらすべて合わせても一週間の安静加療という結果だった。手術はすぐに行われて、ほほ内部がかなり深く自分の歯で2箇所に渡って切れているため縫合された。また、折れた歯の破片がさされているということでこれも取り除かれた。ぐらぐらしていた歯は実は内部で折れていることがレントゲンでわかりこれは丸ごと取り除かれた。口腔外科の仕事はここまでで、あとの歯の治療は町の歯科医でということであった。実は一か月以上経った今でも歯は入っていない。東京で治療は開始しているが、まずほほの腫れが引くのを待って順次治療を行っているのでおそらく完全に治療が終わるのは年明けになる。今まで病院や歯医者に無縁のわたしの生活は一変した。
 
◎不幸中の幸い
今回事件に遭っていくつかの幸運もあった。まずは労災が適用されたのもそうだが、犯人が胸ポケットのものに手を出さなかったこと。運転免許証やメインとキャッシュカード、クレジットカードはここに入れてある。また、通話専用のガラケーとデータ専用のスマホ2台持ちにしていたため、気がついたあとにすぐガラケーで連絡を取ることができた。

また、事件後一か月して薄暗かった現場の通りに明るいLED街灯が取り付けられているのを確認した。偶然かもしれないが、わたしの件でこれが設置されたのならこれもまたケガの功名だろう。愛知県西部地方では同様のノックアウト強盗がそのあとも頻発している。いずれも夜10時頃で狙われるのも同じような年代だ。一刻も早い事件解決を希望する。