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しょうゆ味のたこ焼きが名古屋風だというのを初めて知った

わたしが高校生のころなのでもう40年近く前のことになる。30分の距離を自転車で通学する途中にある肉屋とたこ焼き屋が常連の立ち寄り場所であった。肉屋と言ってもお惣菜、雑貨や駄菓子なども売る総合食品店的なところで、コロッケを頬張りながら店先に設置されたテレビゲームやガチャガチャに興じる純な高校生であった。残念ながら今は閉店してしまっている。
 
もう一軒ほぼ毎日寄ったのがたこ焼き屋であった。二畳ほどのスペースの小屋におばちゃんがひとり暑い日も寒い日も黙々と焼き続けていた。10個入り200円からのメニューを、お金のない学生向けに小袋5個入り100円という裏メニューを用意してくれていた。途中から定年を迎えただろう旦那さんが手伝い始めたが、やはりおばちゃんの作るたこ焼きが最高であった。どれだけ焼いても中身が固まらない、ジューシーでアツアツのたこ焼きができあがる秘密を知りたくて、焼き始めから鉄板の前に釘付けになって眺めていたものだ。
 
その作り方はまず生地を流し込んでキャベツなどの具材を入れていく。たこもひとつずつていねいに入れていく。この後、しばらくしてから生焼けの生地の上からしょうゆをまんべんなくかけていく。そして、生地が固まり始めたぐらいで、ピック一本を使って半球状の鉄板の中でうまく転がして丸くしていく。上にかけたしょうゆが焼けた鉄板に触れてこのあたりからなんとも言えない香ばしいしょうゆの香りが拡がる。鉄板の上で何度も何度も転がるうちに丸くなっていく。時には鉄板の位置で温度が違うため焼き加減の調整で鉄板の上をたこ焼きがひゅんひゅんと飛び交う。見ていて飽きることのない時間だ。
 
こうして焼きあがった頃合いで本来はない紙袋5個入り仕様のたこ焼きを100円で購入する。自転車に乗りながら、中がまったく固まっていない溶けたままのたこ焼きを頬張りながら帰るのが毎日の楽しみだった。
現在は場所を300mぐらい北に移動させて営業をしている。おばちゃんはおばあちゃんになり店先に立ち続けていたが今は娘さんと思われるおばちゃんが営業を引き継いでいる。先日、ご当地テレビを見ていてわたしが慣れ親しんだ味が名古屋風だというのを知った。元祖をうたう店も紹介されていたのでメモしておいて今日訪ねてみた。
 
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その前にかつてのソウルフードに行ってみた。移動してから店舗も大きくなり最初のころは繁盛していたが、今は待ち人を見ない。そもそもこの店の屋号をわたしはずっと知らない。営業している以上は食品衛生法の営業許可書は取っているはずだからあるのだろう。今も表には出ていないのであえて名乗らないようだ。
 
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かつて10個200円だったのを考えると隔世の感がある。裏メニュー5個入りがあるのか聞いてみたかったが先代ではないのでやめておいた。
 
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10個でいいのに15個入りしかないという。そうリアルタイムに焼いていなくて適当にパックを作って保温している。この時点で流行っていないのがわかってしまう。鉄板の上は空っぽなのだ。
 
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んー、まず熱くない。しかも時間が経っているのか中も固くなっている。これは先代の味ではない。しかもしょうゆの味がかなりきつい。前から薄々感じていたが、ここはもうかつての店ではない。リピーターが消えた理由がわかる。何ならわたしが跡を継いで先代の味を復元したいぐらいだ。学生時代の想い出が汚されたような気がしてもうここには来まいと心に誓った。
 
 

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では、テレビで紹介されていた名古屋風しょうゆたこ焼きの元祖はいかがなものか。名古屋市熱田区にある吉川屋に向かった。ファミリーマートの向かいにあるショップがそこだった。
 
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鉄板の上には今まさに焼きあがろうとする多くのたこ焼きが鎮座していた。そうこれこそが若かりし日の少年のまぶたに焼き付いた光景なのだ。
 
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なんとうれしいことに5個入りが標準で用意されていた。ただし価格は2倍の200円になっていた。この瞬間タイムスリップしたかのように40年前に引き戻された。
 
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中身はまさしくジューシーそのもの。味付けも薄っすらとしたしょうゆ味であった。ソースたっぷり、マヨネーズ、青のり、かつお節たっぷりもまたいいだろう。しかしそれはまた別のたこ焼きなのだ。愛知県西部地方で脈々と受け継がれるたこ焼きは今も存在した。