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BitTradeOneのUSB CABLE CHECKER 3(UCC3)の完全レビュー

石の上にも半年

2月4日に受付開始、3月7日に送金をしたUSB CABLE CHECKER 3(以後UCC3)が半年の期間を経て8月5日に到着した。

パッケージはUCC2のビニール袋からブリスターパックに格上げとなった。画面は真っ暗なままなので店頭では何なのかがわかりにくい。底面のポートをシールにするのもよいが、一番メインの機能をシールで表現した方がよかったのではないかと思う。上の画像はハメコミ合成してある。実際は真っ黒な塊になる。文字で「可視化!」とされるより一目瞭然だ。

なぜこうなったかというと、UCC2のように本体外観がその性能を表現できていないからに他ならない。前作は液晶は小さく、圧倒的に結線を示すLEDが存在感を物語っていた。
おそらくこのブリスターパックヨドバシカメラなどの量販店に置かれることを意図しているのだろう。ちょっと値段の張るブラックボックスに映らないかと心配だ。

台紙によると製品名はADUSBCIM3と呼ぶようだ。くださいと下さいという表記の揺れがあって気になる。この台紙で正しくはすべて「ください」になる。BTOに校正担当はいないのだろうか。

外観チェック

本機は単4形乾電池またはニッケル水素蓄電池2本で駆動する。同梱はされていない。またシリアル管理されているのがわかる。ゴム足はUCC2よりやや背の低いものが使われている。

乾電池と蓄電池は公称電圧が1.5Vと1.2Vで違っており、電池残量を表示する機能を付けているためアルカリ(マンガンを含む)かニッケル水素かを選ぶようになっている。通電状態で右ボタン1秒長押しで種別選択ができる。
おそらく電圧降下で残量を推定していると思われる。乾電池は時間を経ると回復する特性があり、このため残量表示は非常にブレが大きくなる。1%単位ではなく、LOW,MID,HIGHぐらいの電池アイコンがよかったかもしれない。

ボタンに触れないと約3分で一瞬画面が白くなってオートパワーオフになる。

上と右に各1個のプッシュボタンがある。ボタンの大きさもプッシュ感もちょうどよい。TREEDIXテスターのボタンが小さ過ぎて押すときに指が痛いのには閉口する。

AとBポートでそれぞれType-A(3.1)とType-C、Micro-B(2.0)とType-Cになる。ケーブル的にはAがソース側、Bがシンク側に位置付けされるが本機ではとくに区別はされない。

保護フィルム貼り替え

まず気になるのは液晶保護パネルに初期から貼ってあるフィルムの品質だ。最初の頃はKM003Cもこんなものだったが、今はそのまま使える程度のよいものが貼られている。さらに気になるのはパネル内部のゴミだ。これはなんともし難い。

UCC2のときはミヤビックスに制作をお願いしたが、今回はなるべく手元に置いておきたいのと普通に真四角なので自分でスマホ用のハイドロゲルフィルムを切って貼る。

貼った。そして静電気のせいかパネル内にあった小さなホコリが分裂して大変なことになった。

最初から分解するつもりだったのでそれはよいのだが、国産と中国産の差なのか。品質管理はどうなっていたのか気になる。パネルは左右が両面テープで止められているだけなので、吸盤かいつもの3Mコマンドフックで簡単に開けられる。

内部チェック

いずれにせよ分解するにはパネルを外す必要があるのでちょうどよかった。裏面のゴム足4つの中に隠しネジがあり通常の⊕ドライバーで開けられる。基板は2本のネジで固定されている。

筐体は作者が何度も作り直したということなので、ここに至るまではかなり大変だったろうと推察される。非常に分解しやすく、また戻しやすい構造だった。パッケージや運送費を除く製造原価は5kのロットを考えると1,500円ぐらいだろうか。

組み立て直したら念のため工場テストモードで画面と端子が問題ないか確認しておこう。電源オフの状態で電源ボタンと操作ボタンの2つを3秒長押しするとテストモードになる。操作ボタンを押して画面に問題がないか、フルピンのType-Cケーブルを使ってType-Cコネクタに問題がないかチェックできる。

収納ケース

ちょうどいいサイズの箱がないかと探していたら、セリアでよさげなものを見つけた。指を挿し込むスペースもあり出し入れがしやすい。

起動チェック

電源ONで3秒間タイトルが表示される。UCC3がグリーンに色付けされている。FWは1.0.1ということだが、アップデートには対応しないと製作中に表明されている。しかし、隠し機能でHIDモードがあるのだろうと、色々探しているが今のところ見つけられていない。仮に見つけられたとしてもツールとFWが提供されなければどうしようもない。

液晶視野角

使われている液晶は1.77インチのもので、上下の視野角は問題ない。左はやや色味が落ちるぐらいなのに、右からはすぐに白色化する。10度ぐらいからすでに白くなる。これはガジェットでは致命的だと思う。最近のUSBテスターは安いものでも2方向・4方向の自動回転が当たり前になっていることを考えると、本機も売れに売れてUCC3.1があるなら4方向で視野角が落ちない液晶と、上下自動反転をサポートしてくれるとありがたい。

UCC3自身のポートチェック

ポートチェッカーの機能がある機器のポートをチェックする。単にポートアナライザーを使いたいだけだ。正常動作時のデータを取っておくことで将来不具合が起きたときの比較対象になる。通電時と非通電時でType-Cだけになるが記録しておこう。

チェックモード

本機はケーブルチェックとポートチェックの2つのモードがある。通常はオートのままでよいが、シンクだけの機器につなげた場合は自動判定されないので手動でポートチェックを選択する。

ケーブル導通チェック(UCC2とUCC3に難あり!)

ケーブルチェッカーのメイン機能になる。ケーブル結線情報のみならず、ケーブル種別や抵抗値、eMarker情報が表示される。
しかしちょっと待って欲しい。UCC3はその名の通りUSBケーブルチェッカーなのである。一番肝心な結線情報は最大で10個しか表示されない。UCC2でさえSBUは1と2、TX/RXも±を持っていた。Type-Cはケーブル側で24本のうち22本を使っている。うち、VBUS/GNDは各4本使うので最低でも16本の結線はされている可能性がある。その情報が10個に圧縮されてしまうのだ。VCONNは文字で表示されるとはいえ、ここは結線情報に表示すべきだっただろう。
UCC2とTREEDIXのデジタル版それぞれの表示を比べてもらいたい。ケーブルチェッカーとして何が重要であるかを如実に表している。

このことを再認識するためにちょっと意地悪なテストをしてみよう。24本(22本)のうちA8:SBU1とB10:RX-の2ラインをカットした中継器を用意した。正しく断線を表示するだろうか。

TREEDIXはデジタル版・アナログ版とも教科書のような正確さで断線をチェックした。ことケーブルチェッカーという本筋で言えばさすがというべきだろう。

UCC2はというと、あれ?ちょっと、いやかなりおかしい。SBU1が消灯する向きに挿しているのだから、RX1-も消灯しなければならない。まったく別の位置のRX2+が消えてなおかつ無関係なTX2-が引っ張られてしまっている。色々向きを変えたり、ケーブルを変えても結果は同じだった。UCC2を持っている人で同じようなことができる人はやっていただきたい。

その後、UCC2で追試を行うと一本ずつの接続は問題なかった。しかし、一部欠損状態ではどうも正確に判断できない。AとBを入れ替えたり、裏表を変えると不定な状態が続く。現実の断線では1本だけピンが剥がれて導通がなくなるということは十分考えられる。それをピンポイントで正確に検出できないと問題だ。
※そして書いていて思い当たった。ひょっとしてこれは素性のわからないお行儀のよいケーブルの正体を探るチェッカーであり、断線しておかしくなっているケーブルを見つけるチェッカーではない。そう考えれば合点がいく。

UCC3はさすにがRX1とSBUを消灯させているが、それぞれ2ラインあるうちのどちらが断線しているかはわからない。せっかくの大画面なのだから、まずは端子表示を優先すべきではなかったか。

また、UCC3がCUIベースで作られているのに対して、TREEDIXデジタル版は全面液晶を採用したメリットを最大限に活かしてGUIらしい製品になっている。ハードおよびソフトの基本設計は作者が行い、ソフトの見栄えに関してはBTOが適任者をマッチングさせる方法があってもよかったと思う。これだけの規模のプロジェクトであれば、今後は分業も視野に入れるべきだろう。

eMarker表示

つい最近、格安ワンコインUSBテスターKWS-X1がeMarkerの読み取りに対応した。UCC2はCC1のプルダウン抵抗を読んでeMarker存在の予測はした。UCC3ではついにその内容を表示することになった。

ベンダー名の表示には対応するものの、最近のUSBテスターのグラフィカルな表示には対応できていない。

変則ケーブルチェック

変則とは言えないが、ケーブル間で信号補正を行うアクティブケーブルの導通チェックは今回も対応していない。
それでは3in1や故意にVBUS/GNDを入れ替えたようなケーブルではどう反応するだろうか。

3in1でC to C,B,LのケーブルでC to Cでは240W PDも通るしデータ通信もできるというおもしろいケーブルだ。さすがにケーブル抵抗値はおかしい。

何かのときに判別できるかどうかのテスト用に作ったケーブルだ。通常であればVBUSとGNDが入れ替わるということはないのだろうが、実は導通をチェックするだけなのでこれをおかしいケーブルとして識別できるチェッカーはなかった。UCC2では普通の電源のみのケーブルに見えるが、UCC3はGNDのみとなっている。まぁ、これだけでおかしいなとはわかる。

ポートチェック

  これは本機の最大の売りになる機能である。今までのチェッカーはデバイスにつなげるな!が鉄則のところを、デバイスにつないでその性能を探ろうという何とも大胆な試みだ。つないでいい機器は20Vまでとなっている。

  • Xiaomi 120W

XiaomiでType-Aなのに20V⎓6Aを通す極悪仕様で以前取り上げた。120Wとデカデカ書かれている割には120W連続出力ではすぐにダウンしてしまう見掛け倒しの充電器だ。プライベートPPSというPDを通すため、Type-AのUSB 2.0に本来ない端子を使ってPD通信をする。当然UCC3には荷が重い。

こちらもソフトバンクの神ジューデンとして崇められている非推奨充電器でやはりすぐに落ちる。ただ、Xiaomiほどはひどくないので、UCC3で標準として見える部分のPDOは検出する。さすがにプライベートPPSはUSBテスターの領域だろう。

ドコモ版をSIMフリーにしてソフトバンク寝かせ回線で使っている端末をチェックした。
DRPとして動作し、2.5Wながら供給もできるのがわかる。

今回、この機能が一番スゴいと思っている。スマホがシンクとして要求するPDOを表示する。こんな機能はUSBテスターで見たことがない。wish 2がPPS対応なのがわかる。説明書によるとこのシンクPDOは機種によるので100%返すものではないようだ。それでも今までソースPDOに血道をあげていたUSBテスター界に革命をもたらすのではないかと思っている。この機能はアプリで真似ができてしまうので、最初にFWで対応してくるのはどのメーカーか楽しみである。

他にもマニアックなシンクが返す情報を表示してくれる。

シンクのプルダウン抵抗チェック

このブログでも過去何度か格安中華機器のType-Cレセプタクル内に規定の5.1kΩプルダウン抵抗がないために、C to Cケーブルで充電ができない件を取り扱った。また、そのチェックにUCC2+no eMarkerケーブルが使えることを紹介してきた。

こんな感じでシンクのレセプタクル内の抵抗チェックに便利だった。これもある意味ポートチェックだったのだろう。その機能はUCC3に引き継がれているのか。

ちゃんと引き継がれていた。ただし、ポートチェックやオートではなく、手動でケーブルチェックにしないと検出されなかった。また、プルダウン抵抗がない場合はいずれのモードも無反応だった。

ケーブル抵抗

最後にUCC3のケーブルチェッカーとしてのもうひとつの売りであるケーブル抵抗の測定について検証して終わることにしよう。すでにXではUCC3でとくにA-Cケーブルで表示が目まぐるしく変わるという報告が上がっている。作成中に作者に聞いたところでは、VBUS+GNDの抵抗測定に関してUCC2とロジックは変えていないという。

今回、測定に公正を期すため測定一回ごとに端子被膜を無水アルコールを付けて除去する。Type-Cの極薄プラグ、レセプタクルに対応した綿棒(素材はナイロン棒)を用意した。100均で売っているが、今回はヨドバシカメラで2個186円の当日無料配送という申し訳ないような買い方をした。

まずいつものミリオームテスターのゼロ校正を確認しておく。そしてかなりの期間使わず放置していた被膜たっぷりのA-Cケーブルをそのまま測定する。

36mΩ分の垢を落としたということか。UCC3では洗浄前の数値を超えてしまっている。数値は黄色表示されている。

続いてXiaomiの120W充電器についてきた特殊A-Cケーブルを計測する。以後はすべて洗浄後のデータになる。かなり上振れしているもののグリーン表示に切り替わった。

MOTOROLA 125W付属のケーブルも同様に上振れする。

最後にごく短い25cmの低抵抗ケーブルを計測して終了にする。どのレンジでも30~40mΩ上方向の誤差なので自動車の速度計のように少し高めに出ると思っておけばいいだろう。

総括

満を持して登場したUCC3である。これから市販されるようになると1万円前後の値付けになるだろう。決して安い製品ではない。単にケーブルチェックをしたいだけであれば公式で3割引で販売しているUCC2を買う方がいい。ただ、今回の検証でUCC2のチェックにも疑問が残った。結線確認だけならTREEDIX アナログ版で十分だ。

それではUCC3の購入層はどこになるか。シンクのポートチェック機能だろう。USBテスターにこの機能が搭載されるまでは優位は変わらない。これから買おうと考えている人は、安い製品でないだけにしっかりと自分の用途と予算を考慮して決めて欲しい。