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USBケーブル抵抗のVBUS,GNDを分離計測

安かろう良かろう

前回発表した2,700円ミリオームテスターで、ケーブル片端をショートしてVBUS+GNDを計測する方法を米国掲示redditで紹介したところ思わぬ反応があった。まず、そんな18ドルぽっちのテスターで正確な値が出るはずがない。表示されている抵抗値は低過ぎてあり得ないというものだった。

その後、テスターの性能として基準抵抗を使って2mΩ~100mΩまで正確に表示されるデータをアップしてようやく正しいテスターと認められた。

行きはよいよい、帰りは違う?

そしてこんな意見もあった。VBUSとGNDは同じではないので別々に測るべきだと。経験上、ケーブル内の赤黒線は同じものが使われているという固定概念があった。
実際、色々なテスターが表示するのはいずれもVBUS+GNDの合計値である。電流としてはプラスから流れてマイナスに戻ってくるのだからその往復でよいと考えていた。50+50であると思っていたものが、実は60+40なのかもしれない。そしてそれを測ることができるのもミリオームテスターを使うメリットだと気が付いた。
いっそ、C-Cケーブルだけではなく、各テスターが苦手とするA-Cケーブルもこの方法で改めて調べてみることにした。今回はミリオームテスター、あろえチェッカー2、UT70の3者勝負とする。

測定治具の作製

AとCでそれぞれオープン、クローズのレセプタクルを用意した。VBUSとGNDをショートしたワイヤーはミリオームテスターで計測するといずれも1mΩ程度だったので無視できるものとする。このため、この方式で測れるのは他と同様にケーブル+2つのコネクタとその接触抵抗+αになる。

酸化膜による影響

ご無沙汰のUSBケーブルを使って抵抗測定を行うととんでもない数値を出す場合がある。金属端子の宿命として酸素を含む空気に触れている以上、酸化は避けられない。

さすがにCの極薄内部を洗浄することはできないが、Aならまだ無水エタノールを使って端子を拭いてやることはできる。測定器側と含めて洗浄をして改めて計測をしてみた。

同じケーブルがおよそ1/3程度の抵抗値になった。こうなると酸化膜による接触抵抗というのは無視できないのでいずれのケーブルも計測前には洗浄をしなければならない。

同様にミリオームテスターも端子をしっかり洗浄しておく。

ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2

いつも思うのはA使用のものはかなり高めに表示される。C-Cも少し高めに表示される。車やバイクの速度計がハッピーメーターと呼ばれるように少し盛って表示されていると思えばよい。

ALIENTEK UT70

あろえチェッカー2より1割ほど低く表示される。電源と適当な負荷を用意するだけでほぼ正確なUSBケーブル抵抗値が測れるものとしてはかなり優秀だと思う。

ミリオームテスター

片側を短絡した往復同時計測とredditで指摘されたVBUS,GNDセパレート計測を行ってみる。

この数値がおそらく一番ケーブルとしては正値になっていると思われる。こんな低い抵抗値のケーブルはないと外国人に言わしめ、最終的に認めさせたものである。意外にもGNDの方が抵抗が低いことがわかった。

A-Cケーブルに至ってはどの方式よりも低く出た。これが最初酸化膜付き1054mΩと表示されたあのケーブルである。実際の値は1/5だった。いかにケーブル抵抗の測定が難しいかがわかる。こちらはVBUS,GNDとも同じ値になった。

総評

これからさらに高出力時代に入っていくとこのケーブル抵抗というのは無視できない存在になってくる。5Aが流れるとすると100mΩの違いが0.5Vの電圧降下につながる。より簡単に正確なケーブル抵抗が計測できる安価な機器の登場が待たれる。