motorolaの実力はいかに
ソフトバンク系神ジューデンについてはXiaomi 120Wで決着をつけた、、、はずだった。ところがメルカリやラクマを眺めていたらmotorolaの125W充電器が2,400円程度でぞろぞろと出品されている。公式サイトでは8,800円で販売されている。その同じ新品がケーブル付で格安出品されている。背景のひとつにソフトバンクがmotorola edge 50s proをMNP一括9,840円というかつての売り方をしたから。
なぜ発売から3ヶ月しか経っていないのに処分的な売り方をし始めたのか。おかげで本体も新品4万円で取引される始末。ミドルハイ機の本体には食指が動かず、20V⎓6.25AというXiaomiをほんの少し上回る特殊PDに興味を惹かれた。
スペック
型番:SJMC1251-JP
- 最大125W USB PD 3.0 GaN高速充電器
- USB-Cポート搭載
- スマホ、タブレット、USB-C端末を高速充電
- 過充電、過熱防止を完全にコントロール
- 米国エネルギー省新エネルギー効率レベルVIに準拠
- PVC、BFRフリー、RoHS対応で万全な環境対応
- 1m 6.5アンペア高速充電対応ケーブル付属
- 充電器のサイズと重さ:55.1×55.9×28.9mm、154.9g
- ケーブルの太さと重さ:φ3.7mm、27.4g
モトローラとの想い出
充電器に記載のMC1251という型番に少しときめいた。motorolaとの関りは40年前にさかのぼる。一番初めに買った富士通のFM-7系PCのCPUはmotorola MC6809だった。究極の8ビットCPUと称された頭脳を2基搭載する構成だった。6809のマシン語を夢中で覚えて悦に入っていた昔を思い出した。今はLenovoの完全子会社になってしまった。
MC1251というのは国内版PSEバージョンで、海外版はMC1258になる。分解レポート(MC1251、MC1258)によると中身は若干異なる。
充電器


充電器とケーブルはセットになっている。6.25Aという通常のPD規格を超える電流を許容するので専用ケーブルが必要になる。いずれもスリーブに入っている。
表面はキズや指紋が付きにくいマット仕様になっているが、125という数字部分だけ鏡面仕上げされているのでキズ防止のためにスリーブを着けていると思われる。100Vプラグは折り畳めない。サイズを小さくすることに注力したようだ。
銘板には付属ケーブルを使った場合の最高仕様が記載されている。125Wの実力値は後で調べてみよう。
Type-Cのレセプタクルはオレンジ色1基のみ。VBUS/GND/D+/D-/CC1/CC2しかないシンプルな構成である。
ケーブル
長さ1mで両端にはCEマークが付いている。6.25Aなのでそれなりの太さがあり、取り回しのいいケーブルではない。ケーブル抵抗値は低い方である。
こちらのプラグ内もオレンジで統一されている。VBUS/GND/D+/D-/CC/VCONNのUSB 2.0仕様である。高速データ通信用途は考えていないようだ。
eMarkerは表記上は20V⎓5Aの100Wケーブルとなっている。他社の充電器で100Wケーブルとして使用しても問題ない。
充電プロトコル
Apple製ほどでないにしても今どきの充電器にしてはシンプルな対応である。実際のところQCとPDがサポートされていれば事足りるだろう。多ければいいというものでもない。EU規制もあり今後PD化が顕著に進むだろう。それでは純正、汎用eMarkerありなしの3パターンで充電プロトコルを調べてみる。
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付属ケーブル
付属のケーブルを使用した場合だけこの125Wが出現する。eMarkerに特別な仕掛けはないので単にmotorolaのベンダーIDをもってこのPDOを出力していると思われる。PDはこのようなメーカー独自の拡張を許容する懐の広さを持っている。それでもなぜ28V⎓5Aではダメなのかと改めて考えさせられる。


KM003Cがmotorolaプロトコルを検出するときのPDパケットを見ておこう。当初20V⎓5Aから、2回目の通知で20V⎓6.25Aになっていることがわかる。
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eMarkerケーブル
当然汎用100W充電器として挙動する。この100Wでも十分だと思うのだが、どうしても120W、125Wと少しでも上にいきたいのだろうか。
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No-eMarkerケーブル
60W充電器になる。ひょっとするとこれが一番安定する動作モードなのかもしれない。実は所有する電子機器で一番大きい電力でもモバイルノートパソコンの45Wが最大である。これで十分以上に事足りる。
耐久テスト
スマホ本体がなくてもKM003Cはmotorola PDのトリガに対応しているので実験は可能だ。むしろKM003Cの6A上限を若干超えるので心配したが問題なかった。
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125W


電流は徐々に6.25Aまで引き上げた。Xiaomi 120Wのような短命充電器でないことを祈る。とりあえず4分は超えた。しかし、6分30秒を過ぎると短時間にシャットダウンを繰り返すようになってしまった。発熱検知で保護回路が働いたなら充電器側で止めるべきである。このような復帰の繰り返しはよろしくない。アップダウンしたときの温度は58℃であった。
今回、スマホ本体を入手していないので試していないが、神ジューデンの実力とはこのようなものなのだろうか。今回も安全を考えると125Wに耐えられるのは3分である。ようやくウルトラマンに並んだ。背伸びして高出力対応を謳う必要があるのだろうか。マーケティング戦略のみであれば、これはAppleやGalaxyの方向が正しいと言わざるを得ない。
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100W


汎用の100Wモードならある程度もつのだろうか。今度は11分超もった。アップダウンは短い時間で終わって完全シャットダウンした。そのときの温度は66℃だった。


おもしろい現象が起きた。途中90WのPDOになるも100Wは出力され、ダウンしたときは68Wが出現した。最後の断末魔では色々おかしな出力をするようだ。
総評
19分の神ジューデンも所定の条件でという注釈付きである。実際のレビューでは26分程度かかるようだ。今までダメダメと思っていたVOLTME Revo 140Wでさえ50分はもつというのに、神ジューデンを冠する充電器がいずれも数分しか使えないとはどういうことだろう。motorolaおまえもか!という気分である。今回も計測データとPDパケットを掲載しておく。