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電子負荷装置ATORCH DL24Pをレビューする

モバイル系ガジェットを色々揃えてきた。今までは実用時の環境を調べるためのツールばかりだった。しかし、持っている機器は本当にスペック通りの性能を持っているかどうか。例えばモバイルバッテリーの10000mAhを最初から最後まで使い切ったらどれだけの能力があるのか。140Wの単ポート出力をもつACアダプターは140W連続でどれだけ使えるのか。

それを調べるためのツールが電子負荷装置だ。この電気代高騰の時代にひたすら電気を定量で消費するためだけの装置になる。業務用の高額な機器は購入できないので、中華製民生機を5,000円で購入した。

 

届いた製品がこれになる。思っていたよりファンが大きかった。ケースに入っておらず基板そのままなのがまたいい。付属の12V1Aで外径5.5mm、内径2.1mmのDCジャックをもつACアダプターの出来が悪いらしい。すぐ壊れると評判になっている。

 

カラフルな液晶がついたメイン基板になる。実はBluetoothが内蔵されているが、技適を通っていないので国内使用には問題がある。メニューから切断はできず、基板のチップかパターンをいじらなければならないので無視することにする。

 

手前に見えるMicro-BコネクタはPC接続用になる。オペレーションはスイッチ4つを使う。慣れれば操作性は悪くない。

 

入力端子になる。高電圧を扱うのはType-CかDCコネクタになるだろう。このDCも外径5.5mm、内径2.1mmになる。これ以外の入力の場合はコネクタを取り外して、電源コードで直接V+V-A+A-に接続する。

 

基板の裏面になる。中央やや左にある四角い白枠がMOSFETの反対側になる。あとでここに外部温度計のセンサー部を貼り付ける。

 

表側のファン中央下にあるのが耐300WのMOSFETになる。本機は180Wモデルだが、幾分余裕がある設計になっている。電気を熱に変えて浪費してくれる本機のメイン電子パーツになる。

 

これがメニューで185Wを上限設定してあるが手動でいくらでもあげることができる。PD3.1 240Wは48V5Aになるので、この設定を変えればテストはできそうだ。しかし、本機は36V超の印加警告を基板表裏面にしつこく書いてあるので十分注意したい。

 

これが稼働時の画面になる。キャプションと単位を見れば概ね取扱説明書を見なくても理解できる。最上段が設定値で、左がモードになる。CC/CV/CP/CRの4モードがあり、電流、電圧、電力、抵抗のいずれかを定量になるよう左側の数値を設定する。この画面では電流2A固定になるよう抵抗値が自動的に変えられる。

左側は上から順に電圧、電流、電力、抵抗、電力量、放電容量、経過時間、外部温度になる。右側は放電時間(設定時間で終了)、切断電圧(設定電圧未満で終了)、内部温度、バッテリー抵抗、機器オンオフを表している。

 

基板むき出しで収納に困るので専用ボックスを購入した。明邦化学のハンディボックスSというのがちょうどよかった。

 

間仕切りもあって、本機と付属品を分けて収納できる。

付属ACアダプターチェック

まず記念すべき最初のテストは付属で付いてくるACアダプターの性能を本機でチェックしてみよう。当然PSEマークもないものになる。無負荷時は12Vが供給されている。問題はないようだ。

 

しかし、定格の1Aを取り出すとあっという間に電圧は10.4Vまで下がってしまった。これでは13%の電圧降下で電子機器を使い続けるのは無理があるので早々にお引き取りいただくことにする。

 

手持ちの小型な12V1AアダプターはPSEマークもあるだけあって正常な出力がされている。今後はこれを使うことにしよう。

モバイルバッテリーチェック

現在使用しているのは4ヶ月前に購入したBaseus 10000mAhのもので1,240円だった。10000mAhといっても3.7Vセルなので実際にはスマホの充電のため9Vや12Vに昇圧される。このバッテリーは75%以上の変換効率を保証しているようだ。

 

早速フル充電にしてから9V2Aが流れるようにKM003Cをトリガーにしてテストをした。PD3.0で2Aを取り出すと8.6Vぐらいになってしまうので、QC3.0で調整して9V2Aが定量で取り出せるようにした。

 

1時間25分でシャットダウンした。取り出せたのは2830mAh(25.5Wh/9V)だった。3.7V換算にすると25.5Wh÷3.7V=6892mAhとなり、初期スペックの69%しか使えなかったのがわかる。9V昇圧とセル劣化により現在は7割程度の性能になっているのがわかってよかった。購入直後にこのテストをやっていれば劣化度合いを調べるのに役立っただろう。

140W ACアダプターチェック

KM003Cのときに紹介したVOLTME Revo 140Wをチェックしてみる。100W超はこれしか持っていない。はて、ACアダプターのテストはどうするのかと調べていたら、バッファローの45W PDアダプターで最高出力90分間の負荷試験を行って最高温度を測っていた。これに準拠してやってみよう。

 

テストに使ったRevo 140Wはこのような表記になっている。

 

140W設定でテスト時間は1時間半に設定して開始した。28V5AのPDOをトリガーに設定して取り出しているが、実際には26.9V5.2Aになっている。

 

20分経過した時点での筐体温度は54.8度(環境15度)まで上がっていた。触れない温度ではない。40分経過時点で70度、さすがにずっと触っているには熱くなってきた。

 

そしてそのときはやってきた。51分10秒でシャットダウンした。そのときの筐体温度は76.1度なので、75度で保護回路が働いたと思われる。

 

その後は、ある程度冷めるまで安全のために140WのPDOは吐かなくなった。Apple 140W USB-C電源アダプタはこのような高温になることはないそうなので信頼性はあちらに分があると。