あれから1年半
Treedixといえば1年半前にLED満載の基板でUSBケーブルチェッカーを発売した直後にAmazonで見つけてレビューした。
今も使用しているお気に入りチェッカーで、ソフトウェア関係なく極めて電気的に動作しているのがいい。アリエクでは類似品が多く出回るほどの人気商品になっている。
温故知新

そんな折に、Treedix公式ストアで新製品を見つけた。今度はチェッカー(UCC)からテスター(UCT)という名称に変化している。
あろえ作USBケーブルチェッカー2(UCC2)がLEDを廃止して全面液晶のUCC3に移行したように、これがLEDチェッカーの最終系なのだろうか。その昔、全自動麻雀卓の進化系として麻雀牌、点棒をすべて液晶表示に変えたテーブルが販売された。結果は散々ですぐに廃盤になった。テレビゲームの感覚や便利さだけでは語れないアナログゆえのよさを無視して開発を進めると本末転倒という結果に終わった例である。
しかし、あのTreedixが出したとなればとりあえずは試用せねばなるまい。今のところアマゾンやアリエクでの取り扱いはなく公式ストアのみである。49.99ドル(7,807円)で日本までの送料は無料だった。6日で届いた。
外観



アリエクのようにつぶれた状態で来ることはなく、別箱に入れた上での梱包だった。化粧箱に取扱説明書まで入っている。


単4形乾電池1本で動作する。電池はシュリンクされていて使用前に剥がすようになっていた。これなら長期在庫になっても液漏れの心配は少ないだろう。

取扱説明書は6か国対応になっていて日本語は10ページあった。もっとも、とくに説明書を読まなくても使えるようになっている。
内部構造

届いたらまずは中を検める。ネジ4本で留められていて簡単にご開帳となった。


液晶部分はフラットケーブル直付けという残念構成だった。

電源としてのType-Cに5.1kΩプルダウンがセットされているのがわかる。本機はType-C to Type-Cケーブルで動作する。UCC2/UCC3のように単体でUSBケーブルの電源ライン抵抗値が測定できる。計測に使うサンプリング抵抗はR16かR11と思う。測定の精度は改めて検証してみよう。
画面遷移


- データおよび電源の規格
- ケーブル結線図
- ケーブル抵抗値とシールド状況
- eMarker(Type-C同士のみ)

見れる情報が極めて少ない。UCC2にあるプラグ内の抵抗ぐらい読み取って欲しい。評価すべきはコネクタの形状を模したグラフィカルな表示だろう。ただ、見てわかるだろうか。Type-CのB8にあるSBU2がSBUSと誤植されている。スクリーンショットだけではなく、実際のものも誤字のまま製品化されている。ソフト的なエラッタなら直して欲しいが、電源ポートとパソコンをつないでも認識する感じがない。ボタンを押しながらでもダメだった。PCからのファームウェア書き換えには対応していないかもしれない。
消費電力

Type-Cで駆動してくれるのでこのように消費電力を測ることができる。動作中でも0.14Wほど、ケーブル抵抗測定時に1.2Wほど一瞬上がるのがわかる。
特異ケーブルのチェック

普通のケーブルをチェックしても普通に表示して終わるだけなのでおもしろくもなんともない。変わり種のケーブルでUCT、UCC,、UCC2がそれぞれどんな動作をするのか確かめてみよう。
ただ、当方アクティブケーブルを持ち合わせていないので、内蔵チップに電源が供給されて初めて動作が決まるタイプのチェックはできなかった。



まず変わり種1本目はOTGケーブルと称して、C to Cケーブルなのに方向が>>>で決められていてCCがない。このためUSB PDは使えない。D+/D-はあるのでQCは通る。オーディオ用として売られている。いずれもクリアした。加えてUCC2はプラグ内の抵抗も読んでいるのはさすがだ。CC線が導通していないのにプラグ内ではCC端子に抵抗がセットされているのがわかる。
お次は3 in 1ケーブルでC to C and B and LというケーブルでなんとC to CではPDが通ってしまう。しかも240W対応のeMarkerを有する極悪ケーブルだ。PDで20V供給があってもBとLは5Vの供給がされる。BとLは急速充電には対応していない。
3in1 C to C



UCC2が脱落した。このケーブルではVBUSを読み切れなかった。このためUCC2お得意の抵抗値も表示されない。eMarkerは検出している。UCTは4画面目でeMarkerの内容を表示するが、この機能はUCC3で搭載されている。
3in1 C to B



3in1ケーブルのBとLはVBUS,GNDのみなのでUCC2がまたもVBUS未検出だった。
3in1 C to L


これは元々UCC2がL対応していないのでTreedix勝負になる。初代はType-C基準のLED配置なので、それ以外のケーブルは裏面にある読替表を参照しなければならない。後継機の視認性はかなりよく、CUIメインのUCC3もぜひお手本にして欲しい機能改善である。
おまけ

最後におまけで3in1を全挿ししたらどうなるだろうか。やってみた。結線図ではデタラメなデータがループする。正しいのはeMarkerだけだった。
ケーブル抵抗測定の精度

端末にケーブル両端を挿してVBUS+GNDラインの抵抗値が測定できる機械は手持ちのもので、UCC2、UCTとWITRN U3だけだ。これにミリオームメーター(MOM)を加えて、以前検証した低中高抵抗のレンジで正確さを検証してみる。

ちょうどアリエクtoocki祭りで入手した短中長のケーブルでチェックしてみよう。
0.25m




MOMは校正を取っているので一番正しいUSBケーブルのVBUS+GND+コネクタ2つの接触抵抗を表示しているものとする。残念ながらどれも100mΩ以下の低抵抗では方式上誤差が大きくなり正しく測定できないようだ。下振れ、上振れしてしまっている。
1m




UCTはダメダメだった。U3が一番正解に近く、なおかつ抵抗値から計算で求められるケーブルの許容電流値目安が表示されるのは親切だろう。eMarkerのデータでは虚偽が多いため参考にならない。UCC3にも搭載して欲しい。
2m




基本的にパッシブケーブルは長くなれば線抵抗は比例で増加する。UCC2の得意とするレンジなのだろう。一番正解に近い。それにしても新製品であるTreedixのなんとデタラメなことか。
UCC3への期待
クラウドファンディングは成立して、昨日引き落としがされていた。予定であれば3か月後には入手できているはずだ。ソフトウェアは日々進化していて、今も新機能を鋭意追加している。それに比べると今回のUCTはいただけない。前作の3倍上の値段を出す価値はなかった。ケーブル抵抗は参考にすらならない。
少なくともeMarkerは読めているわけだから、UCC3のようにもう一歩機能を付加して欲しかった。評価すべきはType-C電源対応、豊富なコネクタ種、グラフィカル表示の3点だけ。ケーブルチェックだけの時代は終わり、よりUSBの見えざる部分をさらけ出す次回作に期待したい。