シガーライタソケットの今
我が愛単車SUZUKI ADDRESS V125G(K7)にはシガーライタソケットがメットインポケット内に現存する。自動車ではこのソケットを搭載しないモデルも増えているが、多くの車に標準装備されている。さすがに、タバコに火を点けるためのシガーライタそのものは搭載されないが、ソケットだけが残っている。自家用車で12V/5~10Aが供給可能なため、60~120Wという大容量電力が取り出せる。シガーライタソケットを利用する機器としては車内用クリーナだったり、ドライブレコーダ、車載冷蔵庫などそれなりの消費電力を必要とする機器も多い。USB端子のある車でもここまでの電力は供給できないということでシガーライタソケットが生き残っている。
自動車用シガーライタ自体は日本産業規格(旧:日本工業規格)JIS D 5807:1991で規定されている。また、ソケットは国際標準化機構ISO 4165:2001で規定されている。
机上でシガーライタソケット用充電器をチェックしたい
スマホをGalaxy Note20 Ultra 5Gに変更した関係で充電環境を変える必要が出てきた。現行の原付シガーライタソケットに挿入されている充電器はPPSに対応していない。今度のスマホではPPSに対応していないと超急速充電25Wが適用されない。
アリエクのクーポン使用で購入した11円充電器が粗悪だった。100WでQC 3.0、PD 3.0というので飛びついたが、まったく急速にならずKM003Cを持ち込んで調べるとType-CはDCP 5Vしか供給しないニセモノだった。
このため次の充電器を調達する際に合わせて、Type-Cからシガーライタソケットに変換するアダプタも購入することにした。これなら、狭い環境でなくても机上で購入した充電器がチェックできる。
USB PDデコイとは
デコイとはオトリという意味である。すなわちUSB PD充電器をあざむき、シンクでないにも関わらず充電器に要求し、まんまと希望の電力をせしめようという輩である。
我が家には今までそのような不逞なものは一つしかなかった。NEC ノートPCを駆動するための平形タイプで、20V45Wをトリガさせるデコイだった。今はType-CのPD対応PCを使っているので使用していない。
そういえばどんな通信をして充電器をあざむいていたのか久しぶりに取り出してきてKM003Cでチェックした。なんと充電器は20V/5Aを伝えているのに20V/1.25Aの25Wしか要求していなかった。45Wアダプタと思っていたのは実は25Wだった。過ぎ去りし日のこととはいえ、デコイにだまされていたとは。
USB PDデコイ シガーライタソケットを調達
今度はだまされるわけにはいかない。アリエク(この時点で選択が)で慎重に吟味してシガーライタソケットをPDでデコイするアダプタを購入した。
仕様
- 材料: ABS
- 色: 黒
- 長さ: 0.24m
- Type-C入力: 12V 1~5A
- ソケット出力: 12V 5A max
この仕様を見てこれは60Wをサポートすると思い込んでしまった。まず12Vという電圧は現在のパワールールには存在しない。この場合は下方向に一番近い9Vが採用される。もっとも、現行の多くの充電器は12Vをサポートしているので問題は少ない。しかし、12V/5Aの時点でおかしいと気が付くべきだった。
USB PDのパワールール
*1: 3A以上の出力には5Aケーブルの利用が必須
パワールールに12Vはないが、あったとしても5Aをサポートするルールはない。そもそも仮に5Aを供給するならアダプタのC端子にはe-Markerが組み込まれていなければならない。確認するとそんなものは当然なかった。
ソケットのやり取りを確認すると12V/3Aの36Wしか要求していない。というかこれが要求の上限である。
シガーライタソケット充電器を確認
いよいよ給電すると、購入したシガーライタソケットに12Vが供給されて、シガーライタソケット充電器からは5Vが出力された。動作は問題なかった。
事前に調べたスペックではType-C出力: 3.3V~11V/3A~4.05A PPSがサポートされている。充電器の側面にもしっかりと表記されている。安心してチェックを行った。
PPS: 3.3V~5.9V/5Aではないか。恐る恐るGalaxy Note20 Ultra 5G SC-53Aにつなぐと、当然高速充電にはなるものの、25Wの超高速充電にはならなかった。このアダプタはゴミとなった。
デコイはだまされて36Wでもよいが、また新たなシガーライタソケット充電器を探さなければならなくなった。超急速充電の道は遠い。