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(新)Xiaomi シャオミ120W(96W)神ジューデンの秘密に迫る

急速充電高出力化競争は終わらない

その後も神ジューデンの探求は続いていた。2024年5月16日発売の最新版Xiaomi 14 Ultraでは90Wハイパーチャージに改められた。そして33分間で100%充電という表記になった。ソフトバンクは、神ジューデンの定義を1~100%の充電時間が35分以下としているためギリギリ収まることにはなる。しかし、120Wや17分,20分にこだわっていたものをあっさり棄てたのはなぜか。

 

高ワット数による充電競争は終わったかと思われたとき、ソフトバンクはさらなる神ジューデン機を発表した。2024年7月12日発売のmotorola edge 50s proは125W TurboPower™として19分で1~100%充電(同梱の充電器利用、画面消灯・急速充電の使用設定時。1~100%までの最短充電時間。使用環境などにより変動。Motorolaラボでの25℃下でのテストに基づくものです。)をアピールし出した。

同梱Type-C PD充電器が20V/6.25AというUSB-IF規格外の出力を許容するのはXiaomiと変わらない。おそらく専用ケーブルのE-Markerには識別符号が入っていると思われる。他社ケーブルや他社スマホには20V/5Aの100Wを上限とする。KM003Cもまたこのような変則PDOを返す充電器に対応しないといけないとは気の毒だ。

本当は96Wだった!?

11T Proの120W Xiaomi ハイパーチャージ紹介ページにはこのような注記があった。
最大出力電力は120W(入力電圧220~240Vの場合)、96W(入力電圧100~120Vの場合)です。一部の地域では、入力電圧に基づいて最大出力電力を120Wにすることはできません。

これは充電器に120W、広告でも120W機と書いてあるが、日本では96Wなんですよと白状している。スマホに表示される派手な充電画面に120W MAXと表記されるが実は96W MAX(それさえも実は達しないのだが)ということだ。

気になって他機種の情報を見ても同じような状況だった。何やら中国メーカーの闇を見たような気になる。その中国は220Vなのでウソは言ってないということだろう。

  • 12T Pro
    最大出力電力は120Wです。入力電圧によっては、最大出力電力が120Wにならないことがあります。
  • 13T pro
    入力電圧220~240Vの場合の最大出力電力は120W、入力電圧100~120Vの場合の最大出力電圧は96Wです。地域によって入力電圧が異なるため、最大出力電力が120Wにならないことがあります。

念のためカスタマーにも確認をしてみた。

もしもなにも、日本では我が家でも一部200V機があるが、標準コンセントは100Vである。96Wの可能性があるとは何とも歯切れの悪い言い回しだが、メーカーが96Wであることを認めたわけだ。120Wというのは充電器の最大出力を表記したブランドでしかない。96Wに対して25%も盛った数字が独り歩きしている。宣伝効果とはすばらしいもので日本人のほとんどのXiaomiユーザが自分のスマホは120W機と信じて疑わない。そして96Wの瞬間風速ですらお目にかかったことはない。

200V環境でテスト

そもそも本当に100~120Vと220~240Vで挙動が変わるのだろうか。このためだけにアリエクで変圧器を2,600円で調達した。単純に入力を2倍に昇圧するタイプなので、100V→200Vでの確認となる。220Vにはやや足りないが下位マージンの範囲には収まるだろう。

100Vと200Vで通知されるPDOは同じ96Wだ。これはどうしたことだろう。この件に関してはredditによると、Xiaomi独自の充電プロトコルのため、KM003Cは充電器の最大120Wの容量を正しく判断できないという回答を得たそうだ。

しかしそれはおかしいだろう。WITRN C5は正しく検出できている。頑張れ、CHARGERLAB!

改めて充電器を確認すると96Wという表記はどこにもない。どうしても見せたくないようだ。

確かに11T Proを実際につなげてPDパケットをキャプチャすると、100V圏であっても、20V/6Aを通知する。メーカーが96Wといっても120Wを通知する。KM003Cの分析結果は誤っていた。そして、スマホが充電器に要求する最大値は19.46V/3.85Aの74.92Wであった。遠慮をしているのか、スマホのバッテリーがある程度ヘタって(初期容量の80%程度)いるので、それに応じて腹八分の要求をしているのか。とすると、96Wを見ることができるのも購入直後ということか。中古機を入手したわたしには望むべくもない数値だった。

そして、200Vに昇圧しても最大要求は変わらなかった。

現実的な20→100%充電でテスト

そもそも、1→100%が実態に合っていない。これほど消耗して充電を始める人はいない。かなり減ったという危機感を感じるのは20~30%であろう。1→100%で比べたい理由が最初の高出力を宣伝に使いたいためといううがった見方をすれば・・・。

あり得ない充電時間の比較をしても仕方がないのでここでは20→100%という現実的な充電で勝負してみよう。80%寸止めのいたわり充電は考慮しないことにする。

Xiaomi 11T Pro(バッテリー推定容量80%)

入力:120W(100V)

入力:120W(200V)

100Vでも200Vでも大差ない結果だった。それはそうだろう、どちらも120Wはもちろん96Wさえ出ていないのだから違いがあろうはずがない。100Vの方が28分ごろでスパッと充電を止めたのに対して、200Vはだらだらと続いたぐらいだが、これは充電池制御の問題と思われる。

入力:65W(100V)

以前やったXiaomi AD65Gによる65W充電をチェックすると28分弱で120W充電器と大差なかった。これであればXiaomiの67Wや90W充電器を使っても結果は同じだろう。つまり、120W神ジューデンというのは少なくとも日本では65W神ジューデンと同意であった。

Galaxy Note20 Ultra 5G(バッテリー推定容量90%)

現実的な充電形態で比較した結果は神ジューデンが半分で済むという結果になった。やや有利というだけであった。あのサムスンが充電競争に加わらないというのは理由があるのだろう。

神ジューデンのまとめ

結局、Xiaomiにしてもmotorolaにしても独自にPPSを拡張しなくても、標準規格の20V/5Aの100W PPSで十分に実現ができる。少なくともXiaomiは100W超を利用していない。メーカーの小さなエゴで規格を乱立させるのは控えて欲しい。それはVHS vs βマックスだったり、8mmビデオ vs VHS-Cだったり、学習しない業界である。ECが裁定を下した以上、従えば汎用性のない充電器やケーブルが溢れる事態は避けられる。

KM003C計測データ集