早買いは三文の損
前回、チェッカーでおかしい挙動があったのでTREEDIXにメールで問い合わせた。

問合せにあたっては、しっかりわたしは初代も二代目もエラッタ入りの初期バージョンを持っている生粋のユーザであることをアピールして、である。

この手の中華系企業でまともに返信をくれるところはなかったのでかなり早く返信がきたのには驚いた。エラッタの件はあっさりとかわされつつも(交換しますとか言わない)、デジタル版は下に挿せという。
USBケーブルの見えない不具合を見抜け
今まで、両端USB Type-Cケーブルはどちらを使っても、またプラグは上下向きが関係なく使えると思っていた。12ピン×2列あって信号の意味は違えども、どちら向きに挿してもレセプタクル側で吸収して問題なく切り替えてくれて動作をすると勝手に思っていた。しかし、ことチェッカー(テスター)ではそうではないという。
そもそも、今回はあえて片端のB列だけをシールドしたケーブルを作ったが、実際のケーブル不具合は、
- 途中で線が破断もしくは切れかかっている
- 途中でケーブル内被覆が剥がれ、2線以上が短絡
- プラグの金属プレート接点に異物または腐食で接触不良
- プラグ内の金属プレート変形で2点以上が短絡
これらのことが想定されよう。マックのポテト加湿器では粗悪USBケーブルのType-Cプラグ内でVBUSとGNDが短絡したことによるケーブル焼損が発生したのではないかと考えている。このケーブルはどの規格のケーブルかという謎のケーブル判定もいいが、生命財産にかかわる問題でもあるので、チェッカーには過度の期待を抱いてしまう。
上流・下流と向き

どのチェッカーにもA側とB側がある。Type-Aのある方が上流になるのだろうと推定される。ただ、Type-C同士の場合だけは上流下流が決まらない。もっとも普通に考えてType-Aのある方になると考えるのが自然だ。
片面シールドしたプラグの上下回転で挙動が変わる側の端子を調べると上のようになった。UCC2がA側になった。
検証ケーブル

今回わかりやすいように直角側は細工せず、ストレート側のB列をシールドした。片面が全面接触不良を起こしていると考えてもらえばいい。
TREEDIX アナログ版


前回、TREEDIXのみ正しい表示をしたと書いたが、シールド側をAに持って行くと状況が一変した。あくまでもケーブル内の不具合はどこにあるのかわからない状態でチェックするのである。このように結果がまるっきり違う表示でどうやって見抜けというのだろう。右の画像を見てこれはB列がすべてシールドされていると判定できる人はいるのだろうか。
TREEDIX デジタル版


TREEDIX社の言う通り、シールド側を下に持って行くと結果はマシになった。しかし、VBUSが4つすべて導通されていることがわかった。確かにプラグ内基板と導線では1本になっている。しかし、接点は4つあり、どれが接触不要になっているかはわからないということだ。24個の表示を点けている意味がない。
UCC2



片面シールドを見抜くにはA側に挿すしかない。
UCC3


前にも書いたが、圧倒的に信号の情報量が少ない。これは設計思想の違いなのだろうが、24ピンを分離して表示して欲しい。B側で片面シールドが判定できる。


A側に片面シールドを置いてフルピンのB側を反転させても結果は変わる。
ケーブルチェッカーの注意点
ここに挙げたのはあくまでも特殊な例である。通常はこんなケーブルを判定する必要はない。また、冒頭で挙げた4つの不具合を探せる、24ピンすべての位置情報をとらえて、VBUSとGNDのクロスしたケーブルまで見抜けるようなチェッカーは民生品では無理だろう。それこそUSB-IFの認証を受けるためのような数百万円規模のチェッカーを使わないと不可能だ。UCC2/UCC3にもあえてこれはホビー商品であると注釈を入れている。
おかしいケーブルをチェッカーで確かめたいときは、A⇔Bと上⇔下それぞれの入れ替えで4パターン試してみるのがいいかもしれない。それぞれのチェッカーの特性を知って楽しみたい。