先日中国VOLTMEというメーカーのRevo 140WというACアダプターを約5,000円で購入した。国内未発売ながらCES 2023イノベーション・アワード受賞ということでちゃんとしたメーカーのようだ。わたしにとっては初の100W超えであり、PD3.1の140W(28V/5A)に対応するためEPR対応 240Wケーブルも用意した。この140WというのはApple 140W USB-C電源アダプタ(13,800円)を意識している。MacBook Proなどの充電に使用される。
Revo 140Wの充電規格を調べるためにFNB58を使った。しかし、FNB58が最大120Wまでしか対応していないのでUSBテスターも新調しなければならなくなった。この辺りの高出力になるとType-C専用でよくなってくる。このためKM003C(240W対応)、AVHzY C4が必要になってくる。今回は更新頻度を評価して、CHARGERLABの新製品POWER-Z KM003Cを購入することにした。AliExpressで8,400円だった。
缶ケースに本体だけ入っているシンプルなセットだ。何よりもコンパクトで薄い。これで240W対応には見えない。
パッケージ裏は対応している充電規格が記載されている。QC5の記載がないが検出できる。
筐体はボタン4つにType-Cのメスが2口、オスが1口になっている。このうちメス1口は電源供給およびPC接続用だ。測定用の電流は本体中心の頭からお尻にかけて突き抜けるように双方向に流れる。
取扱説明書
本機の取扱説明書はWEB上にアップされている。都度更新されているが、中国版のため日本語に翻訳したものを用意した。
それでは基本的な使い方を順に見ていこう。
ダッシュボード
テスターとしてもっとも基本的な画面で、電圧、電流(方向)、電力(温度)、充電プロトコル、4端子電圧(D+,D-,CC1,CC2)が表示されている。これは現在モバイルバッテリーを充電しているところになる。ダイレクトにType-Cを挿す代わりにKM003Cを中継させるだけだ。
次は逆にそのモバイルバッテリーからスマホを充電してみる。PDのネゴシエーションが行われて9Vの急速充電になっているのがわかる。通常は見ることができないネゴシエーションの過程が見れるのはおもしろい。
eMarker情報読み取り
60W超を流す場合はケーブル側にeMarkerというチップが搭載されていなければならない。加えて100W超はEPR(Extended Power Range)対応になっている必要がある。240Wまで流せる規格なので安全のためにも厳格な運用が求められる。KM003Cではベンダー情報をテキストで持っているのでメーカー名まで表示される。これは1,400円で購入した全部入りのものである。240W流せるだけあってケーブル太さもそれなりにある。
充電プロトコル検出
新しいACアダプターを購入したときはスペック通りの充電プロトコルを持っているかどうかチェックしたくなる。あるいは中華製だとスペックに書いてない充電プロトコルを持っていたりするので視覚できるのは楽しい。この状態ではPD3.1となっているが60Wまでとなっている。これはメス側にeMarkerの入ったケーブルを挿していないからである。
ケーブルシミュレーター
本機はリアルケーブルを持っていなくても本機内でeMarker情報を偽装してACアダプター側に伝える機能を持っている。240W EPRケーブルを持っているフリを設定してもう一度やってみる。
今度はACアダプターのもつ最大140Wが検出できている。
トリガー
本来、ACアダプターから出力される電力は端末とのネゴシエーションで決定されるが、本機を中継させることでACアダプターをあざむき任意の出力が得られるようになる。選択できる充電プロトコルはこの表から選ぶ。
これはPPSで3.3~21.0なで0.1V単位で電圧を変化させることができる。
最高出力28.0V、5Aを選択して140Wに耐えうる負荷抵抗を用意すればACアダプターの耐久テストが行える。よくあるACアダプターの発火事故を未然に防ぐために機会があればやっておきたい。
グラフ表示
電圧や電流の変化をグラフで見ることができる。更新の間隔は本機決定ボタンで変えることができる。また、VBUSのリップル電圧波形が見れるので、通過する直流の精度が確認できる。
電気容量積算
バッテリーの能力を示すためにmAhという単位が使われる。これはAmazonで買った500円の特価ライトでスペック上は2000mAhのバッテリーを搭載していると書いてあった。一度完全にバッテリーを使い切ってからフル充電するまでの電力を記録してみよう。
充電が終わるまでに流れたのは5V、2016.9mAhでスペック通りのバッテリーを搭載しているのがわかった。
瞬断対応として約5秒は電力供給が絶たれても動作するようになっている。本機は頻繁にアップデートが行われているので、PCにつないで更新チェックをするとよい。
PCアプリ
FNB58にはBluetoothモジュールを内蔵したものがあるが、一般的にこの手のガジェットで技適マークを取得しているものはないのでそのようなモデルは使用を控えた方がいい。その点、KM003CはUSBケーブルでPCとつないでPCアプリでしか見れないのでそのような問題がなくていい。
画面が大きいだけあって、視認性がよい。FWの更新もこのPCアプリで行える。本機を通過するPD通信の内容もPCアプリで見ることができる。充電器とスマホ間の充電ハンドシェイクの状態が見れるのは興味深い。
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