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NECノートパソコン PC-NM560KAWの液晶パネルを交換

知人から久しぶりの電話だった。きっとこの人ほどついていない人はいないんじゃないかと思うぐらい家電製品が自然故障する運命の持ち主である。8年前に修理したLenovo PCのブログはなかなかのアクセスだった。スマホと同様にノートパソコンの液晶も割れやすい。もっとも8年前は自らぶん投げた破壊行為であった。今回は女子大生の子どもが使っていて液晶がおかしくなったということなので自然故障なのだろう。

 

持ち込まれたPCはちょっと前ならネットブックと言われていたような小型軽量のものであった。PC-NM560KAW-E1と記載された型番から調べると2年前のモデルだった。12.5型ワイド IPS液晶 ノングレア(1920×1080),Core i7-7Y75 (1.30GHz-3.60GHz),8GB,256GB SSDとなかなかのスペックである。ただ、ネットで情報を検索してもあまり出てこないので量販店モデルと思われる。型番最後のE1はエディオン、Jはジョーシンとなっているようだ。

 

品名:パソコン
LAVIE Note Mobile
型番PC-NM560KAW-E1
型名NM560/KAW-E1
発売日2018年06月01日

 

開いてみると、なるほど液晶パネルの中央がスッパリ切られたようになっている。パネルを開いて合点がいった。天板部分の厚みが6.5mmしかない。パネルを開くときに薄さのあまりややしなる感じがする。これをずっと繰り返しているなら液晶パネルにもダメージが蓄積されるだろう。おそらく液晶パネル中央部の上側に亀裂が入り、その影響でモーゼの十戒よろしく海が割れるように縦一文字の非表示部分ができてしまった。こうなるとパネルを交換するしか方法はない。メーカー宣伝では、ボディは150kgfの面加圧試験をクリア(非動作時)していて頑丈となっているがどうだろうか。

検索するとBOEという中国メーカーのNV125FHM-N82というパネルが使われている。通販サイトで探すと送料を考えて8,000円~10,000円のようだ。海外発送のものは時間がかかるので国内発送してくれて信頼のおけそうなのを探すとヤフオク!8,500円のものがよさそうだった。14時までの決済で当日出荷してくれるという。

 

翌日到着するというのでさっそく殻割りして準備しておこう。通常はバッテリーを取り外したいところだが、このパソコンは取り外すものが何もない。電源を落として作業するしかない。←実はこれが命取りだった!!

 

液晶パネルを押さえるベゼルは嵌合(かんごう)されているだけなので、爪をぐりぐりと挿し込んでいくだけで外れる。とくに左右の真ん中より上ぐらいが攻略しやすい。ベゼルは柔らかいのでややたわませる感じで外していくといい。

 

ベゼル下部がちょっと厄介で、外れにくいのでこのようにプラ素材でこじって外していこう。わたしはSIMフォルダーを使った。ドライバーなどの金属製のものはかんたんにキズが付いてしまうので使わないようにしよう。

 

きれいに外れるとこのようになる。外したベゼルはひっくり返して撮っている。

 

続いて液晶パネルを外す。左右が両面テープで固定されているだけだ。

 

結構強力なテープなので、先ほどのプラカードを挿し込みながら剥がしていくときにシールはくしゃくしゃになる。

 

もっともきれいに剥がしてもテープは再利用しないので思いっきりやっていい。また、液晶パネルも薄過ぎて引き剥がしていくときに必ず中でガラスは割れてしまう。どうせ廃棄なのでこれも土台保護を優先して、液晶パネルは曲げるような感じで引き剥がしていい。両面テープは実測すると、このサイズだった。

 

100円ショップで探すと厚さが一番近そうなのが1種類あった。幅は切ればいいだろう。

 

液晶パネルは下部一か所がコネクタでつながれている。ここは非常にデリケートな部分なので慎重に操作しよう。

 

コネクタを覆うように貼られている透明テープを剥がしながらまっすぐ矢印の方向に引けば抜ける。

 

これで液晶パネルはパソコン本体から切り離された。あとは貼られている両面テープの通りに購入してきた両面テープをカットする。貼り付ける位置は覚えておこう。

 

届いた液晶パネルの裏に、元の液晶パネルを参考に両面テープを同じようにセットする。両面テープの剥離テープはまだ剥がさない。この状態でコネクタを接続して電源を入れ画面が問題ないかを確認する。おっ、NECのロゴが映った、って暗いじゃないか。嫌な予感しかしない。一度電源を落として再度コネクタをチェックし直しても同じだった。これはやっちゃったパターンだ。

 

仕方がないので、液晶パネルのスペックシートを調べる。30ピンあるうちの22番がバックライト有効無効、26~29ピンがプラス電源になっている。ここに電源が供給されていない。つまり本体基板上のヒューズが飛んだのだろう。横着はするものじゃない、急がば回れで時間がかかってもバッテリーは外すべきだった。購入したヤフオク!の商品説明にもそう書いてあったではないか。今となっては後の祭りだ。

 

本体裏には中央のゴム足内の隠しネジ2本を含めて12本のネジがある。すべて同じサイズなので外して一緒にしてしまって構わない。

 

裏パネルの外し方もベゼルと同様に爪を入れて隙間を作ってプラカードを入れて少しずつ攻略していく。開けやすそうなところを四方探してみよう。それほど殻割りの難易度は高くない。二辺ぐらいが外れればあとは裏パネルをたわませてやると他の辺も外れやすくなる。

 

これが御開帳した本体基板である。バッテリーはおかしな形をしているがよく見ると薄型の3つのセルがシュリンクされて構成されている。そして、本体基板につながるコネクタは右の一か所。このコネクタを外してから作業をすればここからの行程は不要だった。10分程度の作業時間を惜しんではいけない。

 

基板上の白いチップがヒューズになっている。表に8か所ある。どれがバックライト用のヒューズで、切れているのかがわからないので総当たりすることになる。

 

このようにテスターで導通チェックをしていく。8つともすべて問題がなかった。となると、残すは基板裏側。つくづくやってしまった感に襲われる。

 

基板につながっているケーブルやコネクタをすべて外し、固定してあるネジも全部取り外して基板裏側を確認する。裏側には3か所しかヒューズが使われていなかった。このうちのEと表示されたヒューズが見事導通されていなかった。

 

さて、続いてこのヒューズの規格を調べなければいけない。サイズは1608というもので幅1.6mm、高さ0.8mmという米粒よりさらにひと回り小さい。これまたスペックシートを探してみると定格電流1Aのもののようだ。1Aを超えると速断型ヒューズはすぐに切れてしまう。復帰型素子という時間が経つと自動復帰するようなものもあるので、そっちを使っておいて欲しかった。

  

ヒューズなので無視して短絡してやればいいのだが、そこは預かりもの。ちゃんと原状復帰させてお返ししよう。電子パーツは秋月電子通商、東京にいれば会社の帰りにでもアキバに寄るのだが今はそうもいかない。角型チップヒューズ 1A 1608 ERBRE1R00V (10個入) 100円というものがあったので購入した。ヤフオク!でも「1608 ヒューズ」で検索をすると販売している人がいるのでそちらを購入してもいいだろう。

 

注文翌日に到着した。では取り換えることにしよう。

 

幸い、取り換えるチップの周辺は孤立していて密集していないので作業はやりやすそうだ。それでも念のため周りは養生しておこう。何やら外科手術のような画像となった。

取外しははんだごてで熱を加えて瞬時にエアーで吹き飛ばすことにした。一番基板にダメージが少ないと思う。

きれいにパターンが残っているので交換チップを載せて今度はつまようじでチップの中央を押さえながら片側ずつ熱を加えて基板に取り付ける。装着後は念のためつまようじで軽くつついて簡単に剥がれないか確認しておく。

 

きちんと基板上に載ってヒューズの役割を果たしているかどうかは同じランド上のはんだ部分で導通チェックで行う。うまく導通が確認できたら作業完了だ。基板を元通りに戻していこう。

 

さぁ、再度の火入れ式だ。祈る思いで電源をオンにする。おお、文明開化の明かりが灯った。このサイズでフルHD液晶、IPSは非常にきれいだ。

 

明るく灯った購入液晶は問題ないようだ。電源を切って位置決めをしっかりとして液晶パネルを両面テープで固定する。一度貼り付けると貼り直すことはできない。液晶パネルが薄いため剥がすときに割ってしまうからだ。慎重の上、慎重を期して貼り付けて欲しい。

あとは下側からベゼルをはめていって最後まで爪がはまれば液晶パネル修理完了である。この状態でもう一度電源を入れて最終確認しよう。

 

続いて本体裏パネルもはめてねじ止めをし、ゴム足2つを元に戻せばようやくすべての作業が完了する。本来、この機種で液晶パネルを替えるときは先に裏パネルを外して電源コネクタを抜いてから、液晶パネル交換を行うべきだった。いずれにせよ、裏も開けなければいけなかったということだ。これから、同じチャレンジする人はわたしのような失敗をしないようにしよう。

 

NEC LAVIE Note MobileシリーズはいくつかあるのでPC-NW560KAW以外も液晶を割ってしまった場合で自分で直したい人は今回のが参考になると思う。PC-NM550KA/NM350KA/NM150KAもCPUやSSDの違いだけで基本は同じだと思う。ただし、PC-NM550GAなどGが付くタイプは液晶が11.6インチなのでシャープ製のIGZO液晶LQ116M1JX06というものが使われているようだ。

 

これで、持ち主に返せる。何やら、在宅で就職の面談などが始まっているということだったので修理期間中はこちらのノートパソコンを貸し出しておいた。今後は、画面保護のため天板の開閉はキーボード側の中央部分を片手で抑えて、もう片方の手で天板中央を持って開くような感じで開けることと言わなければ。

 

でも、あのうちではまた何か目に見えないものが走っていて結局電気製品は壊れていくんだろうなーと思いつつ修理を終えるのであった。